GO / Lost In Translation

日本にまつわる映画を2本観た。1つは行定勲監督の「GO」、こちらは日本映画フェアをやっていた映画館で。もう1つはソフィア・コッポラ監督の「Lost In Translation」、こちらは日本にいる頃に映画館で観たけど、再度DVDで。ヨーロッパに来て日本映画を観るのは、日本で観るのとだいぶ趣が異なる。「GO」はいい映画だったが、映画館では、我々からすれば笑うところでもなんでもない普通のシーンで、ドイツ人が大爆笑していることが多々あった。途中から映画の内容より、ドイツ人の笑いのツボが気になり始める。彼らからすれば、この映画の舞台自体が非日常のエンターテインメントなのだろう。日本人には現実世界に模したフィクションでも、ドイツ人には(極端だが)パイレーツオブカリビアンと同じなのかもしれない。日本人の俳優の演技自体も新鮮なようだ。とにかく一挙手一投足に笑う。結局、我々が思っている以上に、ヨーロッパにとって、日本というのは遠い国なのだということをあらためて実感。そして「Lost...
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就職先人気企業ランキング

産業という面では、日本とドイツは鏡の国だと思うことが多い。どちらも製造業が中心で、最先端の技術力や製品品質の高さがウリ。その分価格も高く、「安くてそれなり」の製品で世界を席巻する中国や台湾と一線を画している。デザインは質実剛健を好み、色気があって官能的だけどすぐに壊れる(そこがまた色気と言い張る)イタリア製品とも毛色が違う。日系メーカーが欧州でなかなか基盤を作れない最大の理由はそこで、欧州は同じようなスペックの製品を同じような価格で提供するドイツメーカーのホームグラウンドだからなのだ。同様に、ドイツメーカーが世界で唯一と言っていいほど攻略できないのが日本。まさに製造業にとっては鏡の国。一方のサービス業は、世界最高のホスピタリティを誇る日本と、ホスピタリティを微塵も感じさせないドイツとで、180度違うのだけど。そんなことを思ってると、つい最近「Manager」というドイツで著名なビジネス雑誌で、学生の就職先人気企業ランキングを発見。TOP10は↓のとおり。1....
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Le Japon dans la lanterne magique 1897

リヨンみやげのもう1冊は、この写真集。「Le Japon dans la lanterne magique 1897」、直訳すると「1897年、不思議な提灯の中の日本」。時は1897年。中国在住のフランス人Charles Vapereauは、母国への帰国を前に、アジアでの思い出に、妻と日本へ旅行する。1897年=明治30年。江戸幕府から明治政府に政治体制がうつり、文明開化が進む。富国強兵を唱え、徐々に欧米列国との不平等条約に対する不満も高まり、1894年にはイギリスの治外法権を撤廃、日清戦争にも突入し、列強の仲間入りを目指していた最中である。この写真集は、そんな時期の日本の記録。赤羽江ノ島日光僕自身、この時代の写真を、白黒ではなく、カラーで見たのはたぶん初めてだし、いわゆる報道写真ではなく、日常生活のスナップショットを見たのも初めてだと思う。そういう意味ですごく貴重な気がする。自分の母国の過去の写真を、日本から10,000km離れたフランスで見つ...
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MICHELIN Japon - Voyager Pratique

リヨンでの収穫の1つがこれ。レストランガイドで有名なミシュランによる日本の観光ガイド。当然フランス語なので、書かれている内容はよくわからないのだが、レストランガイド同様、観光ガイドでは日本の観光地、観光施設をランク付けしている。フランス人の目から見て、日本のどこが魅力的にうつるのかは興味深いし、日本に帰ったらこれを見ながら観光するのも楽しいだろうと思って購入。栄えある三ツ星観光地は、↓の11つ。なんと僕は全部行ったことがある。意外と国内旅行好きだったのか、ただのミーハーか。。・知床国立公園・松島・日光・東京・上野・高尾山・富士山・高山・京都・奈良・姫路城一方、観光施設の三ツ星はたくさんあって、とても書ききれないが、以前から行きたい行きたいと思っていたミホミュージアム(滋賀県)や、宮島&厳島神社が挙げられているほか、地元九州からも九州国立博物館(福岡)とひょうたん温泉(別府)が三ツ星を獲得。九州国立博物館など、2-3年前に福岡に帰った折に、父親と入...
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フロンティア、ナウ

フロンティア、ナウ(2008/11/29)野崎 雅人商品詳細を見る「日経中編小説賞受賞」というバッジと、垣根涼介の小説を彷彿とさせるあらすじに期待して読んでみたものの、それが偏った期待になったせいなのか、いまひとつ入り込めなかった。それにしても、タイとかベトナムとか、東南アジアの雰囲気というのはどの本でも似たような感じなのでだいぶ知った気になってるけど、実はリゾート以外は行ったことがない。生活拠点が日本に戻ったら、なんとか時間をつくって、リゾートの誘惑に負けずに、ぜひ足を運んでみ...
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チーム・バチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫)(2007/11/10)海堂 尊商品詳細を見るチーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (宝島社文庫)(2007/11/10)海堂 尊商品詳細を見る下巻がおもしろい。おもしろいというのは、ミステリー、エンターテインメントとしてというより、問題解決(仮説思考)、交渉術、インタビュースキルといった、ビジネススキルのケーススタディとして。特にパッシヴ・フェーズとアクティブ・フェーズという考え方は非常におもしろかったし、仮説思考を徹底することで問題の真因を探り当てる、というのもビジネスに通じるものがある。上巻で、仮説を持たずに状況分析をして何もわかりませんでした、という展開になっているのも、個人的には納得感がある。犯行手段、犯行動機などを含めストーリー自体は手練れのように感じられたけど、登場人物の言葉の中には、なかなか含蓄の...
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Lyon

仕事でリヨンへ。パリに続くフランス第2の都市にして、「星の王子様」の作者サン=テグジュペリの生まれ故郷。ミシュラン3ツ星を40年以上維持しているPaul Bocuseをはじめ、味で勝負するレストランが数多くひしめくヨーロッパ屈指の美食の街。ローマ時代の遺跡が残る旧市街は世界遺産に指定されている。仕事なので、観光する時間はほとんどなかったけど…食事はたしかにおいしかった。フランスの都市は、パリ、モン=サンミッシェルに続いてリヨンが3都市目だが、今回驚いたのは日本文化の浸透度。まずは、書籍。何軒か書店に立ち寄ったけど、日本について、日本文化について書かれた本が数多く棚に並んでいる。そしてなによりすごいのは、マンガの充実度。そもそも「Manga」というコーナーが本屋の一角をしっかりと形成しているのは、ヨーロッパの中でもフランスだけ。さらにそのラインナップは、「ドラゴンボール」「シティハンター」「ドラえもん」などの不朽の名作から、「のだめカンタービレ」「神の雫」「デスノート」「ONE...
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METRO

独メトロは、米ウォルマート、仏カルフールと並び、消費財の流通をかじった人間では知らぬもののいない、世界のビッグプレイヤーの1つ。ウォルマートやカルフールと違うのは、「メトロ」は法人向け会員制ホールセラーであり、個人向けはメトログループのRealやKaufhof、SATURNなどの店舗で展開されている。入会審査は厳格で、法人カードを持ってなければメトロに入ることはできない。法人会員には、小売店やレストランなどが名を連ねる。商社、卸が網目のように小売をカバーする日本と違い、ドイツでは大型チェーンはともかくとして、家族経営レストランなどは、自らメトロで食材を調達するしくみになっている。そんな流通のネットワークに、なぜか弊社も法人会員として加入していたらしい。というわけで、週末にカードを持っている同僚に連れられてメトロツアーへ。倉庫型大規模店舗というのは最近では日本でも見かけるが、ここまでの規模のものは見たことがない。とにかく広いし、品揃えも豊富。価格は...
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ベルナール・アルノー、語る

ブランド帝国LVMHを創った男 ベルナール・アルノー、語る(2003/01/15)ベルナール・アルノー商品詳細を見る長年経営コンサルティングをやってきた中で、「この業界の経営は難しいだろうな」と思った業界がある。それが、ファッション業界。もちろん在庫回転率を上げるとか、店舗オペレーションを改善するとか、やれることはあるのだろうけど、「流行」という、全く予測できないものが経営を大きく左右してしまうので、どうにも経営しづらそうに感じてしまう。例えば、「今のナルミヤインターナショナルをどうすれば救うことができるのか」と聞かれれば、経営コンサルタント的に解を出すことはできる。しかし、そこに「トムフォードを雇いましょう」という解はないだろう。その一方で、この業界では一人のデザイナーがブランドを蘇らせた例が多々ある。そういった意味で、ファッション・アパレル業界の経営は難しいように感じ、だからこそ、おもしろそうに思う。しかし、本書を読んで、僕の考えは間違っていた、いや、浅慮であったと思い知らされた。ベルナール・アルノーは、LVMHという、一見流行や景気に左右されやすそうなラグジュアリーブランド集団を、教科書に載るような経営のお手本というべき考え方で、見事に舵取りをしている。まず、彼らの根底にあるのは、製品品質への徹底的な拘り。「品質が良いもの」というのは、流行によって品質が悪くなるわけではないから、いつの時代でも「品質がよいもの」であり、そういった意味で、永続性のあるValue...
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赤めだか

赤めだか(2008/04/11)立川 談春商品詳細を見るいやーおもしろい。文章を書くのが、読ませるのが本当にうまいなぁと思う。僕は物書きではないけど、同じく言葉を扱う職業をしていて、心底すごいと思った。立川談志については、数年前のM-1グランプリで辛辣なコメントをしていた印象しか持ってなかったが、愛情と厳しさを双生させたものの伝え方がすばらしい。こういうふうに伝えればよかったのかと気づく。「君の今持っている情熱は尊いもんなんだ。大人はよく考えろと云うだろうが自分の人生を決断する、それも十七才でだ。これは立派だ。断ることは簡単だが、俺もその想いを持って小さんに入門した。経験者だからわかるが、君に落語家をあきらめなさいと俺には云えんのだ」「坊や、よく覚えとけ、世の中のもの全て人間が作ったもんだ。人間が作った世の中、人間にこわせないものはないんだ」「談春!何してやがんだ。馬鹿野郎!どこの世界に弟弟子の靴揃える兄弟子がいるんだ。おい小僧、よく覚えておけよ...
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「目線」の違い

日独の差ではないのだが、ドイツで働くようになって大きく変わったことが1つある。クライアントと会話をするときの、「トピックのレベル感の違い」とでもいうのだろうか。東京にいた頃は、トップマネジメントとの仕事もあるものの、どちらかといえばクライアントのミドルマネジメントと仕事をすることが多かった。そのため、プロジェクトの性質は、ミドルマネジメントが抱える現場レベル、オペレーションレベルでのトピックが多く、会話の内容は、必然的に社内的だったり、業界内だったりの話題が多い。もちろん、他業界が話題に上ることもあるが、それは例えば、「20代女性へのアプローチとして、他業界でうまくいっている例ってありますか」など、やはり自身の業務にひもづいていたように思う。一方で、ドイツに来てからは、そもそも日本人で駐在しているのが、現地法人の社長や役員に限られるということもあり、トップマネジメントと仕事をすることがほとんどである。加えて、弊社ドイツオフィス自体も、元来トップマ...
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解は必ずある

「仕事や住まいを失った元派遣労働者らを支援した『年越し派遣村』実行委員会などは15日夜、東京都内で労働者派遣法の抜本改正を求める集会を開いた。元派遣労働者ら約400人が集まり、『安定した雇用や生活できる賃金を保障しろ』と訴えた。労組関係者からは、企業の責任を問う声も出た。」��1月15日、時事通信)気持ちはわかるのだが、このやり方ではあまりうまくいきそうにないな、と思う。何かを変えたいと思うときは、同時に、変える対象となるもの(人だったり組織だったり制度だったり)が、何のために存在しているのかについてまで考えを及ばせなければならない。そもそも「派遣」というのは、「柔軟性のある労働力の確保」という目的に対する1つの手段である。事業環境に応じて必要なだけ人を増やしたり減らしたりできるほうが企業の安定性は高まるし、事業環境に応じて増やしたり減らしたりできるから採用もしやすい。採用しやすいことが失業率を押し下げたり、(特に景気が上り調子の時は)採用される...
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リゾート再生請負人 星野佳路

プロフェッショナル 仕事の流儀〈1〉リゾート再生請負人・小児心臓外科医・パティシエ(2006/04)不明商品詳細を見る「その結論が正しいかどうかは、ビジネスの世界においては、ある意味、誰にもわからないんです。だからこそプロセスを大切にするということなんですね」「競合他社がどう出てくるかわからない中で、成功の確率を高くするには、プロセスを充実させるのが最良の手段」「自分たちが最も得意とする人たちを選ぶということが、コンセプトを作る目的と言っていいかもしれません」「お客様に喜んでもらうことが私たちの仕事ですから、そのために何をすべきかという経営判断は、じつはそれほど難しくありません。ですから、接客をするスタッフもその上司もおそらく同じ判断をするであろうというレベルまで価値観を共有させておくことが、一番大事なのではないかと私は考えています」「自分でやったほうが本当によいと思っているのなら、休憩室で愚痴を言わないで、手を挙げてもらったほうがよっぽどいい」...
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義経

義経〈上〉 (文春文庫)(2004/02)司馬 遼太郎商品詳細を見る義経〈下〉 (文春文庫)(2004/02)司馬 遼太郎商品詳細を見る源義経が人気があるのは、彼は悲劇のヒーローであり、軍事的天才であり、一方で人間として不器用であり、といったこともあるのだろうが、僕が彼をかっこいいと思うのは、「彼は貫くべき信念を持っている」という点だ。その点では頼朝も同じであり、「鎌倉に幕府を作る」という信念を貫いて行動しただけである。明確なコントラストで描かれている頼朝と義経だが、信念を貫いたという点では同じであり、信念を貫く強い意志を持ち合わせていたという点で似たもの同士の兄弟に思える。「遠く離れていても、彼なら自分のことをわかってくれる」という考えは、たしかに甘い。顔が見えないというだけで、人はいくらでも疑心暗鬼になり、悲観的な想像をしてしまう。信じられないほど馬鹿げた讒言だけでも、長年の信頼関係を一瞬で吹き飛ばすだけの威力を持っている。長年つきあったカッ...
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Milano / Como

ドイツで暮らし初めてから、いや、むしろその前から妻と計画していた、「ミラノバーゲンツアー」を先週末に敢行。思えば東京に住んでいた頃は毎月のように服を買いにでかけていたのに、デュッセルドルフにはおしゃれな店もなく、ウインドーショッピングすらままならぬ日々を過ごしてきた。この日は、半年分の鬱憤を晴らすかのように、気ままに店に入りあれやこれやと試着し、ミラネーゼを見ておしゃれの勉強をしたり、50%以上のディスカウントに興奮したりと、陽気なイタリアを楽しむ。お互い靴を一足ずつ戦利品として獲得し、ミラノをあとに。行き先はミラノから電車で北に30分ほどの位置にあるコモ湖(=写真)。かつてローマのカエサルが保養地にしており、今でも(妻の持ってたゴシップ誌によると)ジョージ・クルーニーをはじめとするハリウッドスターが足しげく通うリゾート地であるらしい。なるほど湖畔にはところどころ中世の豪邸などが立ち並んでいる。妻と新しい場所を訪問すると、自然「ここは街の雰囲気が...
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Below the freezing point

本日の天気(6日):晴れ最高気温:-6℃最低気温:-14℃とは今週火曜日のデュッセルドルフの天気。氷点下の一日を過ごすというのは人生初ではないだろうか。本日の天気(9日):晴れ最高気温:-2℃最低気温:-7℃極寒日が続く・・・。ただ、そのおかげか空は澄み切っていて、思わず見とれてしまう。寒さのせいか、おかしなニュースも。---------------------------------------------------『ドイツの子ども3人、寒さから逃れようとアフリカ目指すも失敗』��ベルリン 5日 ロイター]ドイツのハノーバーに住む3人の子どもが、寒さにうんざりしてアフリカを目指したものの、地元の駅で警察に補導されるという出来事があった。警察が5日に発表した。��歳の男児と7歳の女児は、新年に何か特別なことをしようと暖かいアフリカに行き結婚することを計画。証人として女児の妹(5)も連れ、1日早朝に路面電車で中央駅に行き、空港に向かう電車に乗り込...
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The only way to do great work is to love what you do

昨年100回は聴いたであろう、Steve Jobsのスピーチ。「綺麗な英語をマスターするため」というのが当初の目的だったが、今では僕のお気に入りのスピーチの1つ。メッセージはものすごくシンプル。「あなたがすばらしいと信じること、愛することをやりなさい。それが自分の人生を生きる唯一の道」僕は今の仕事を愛しているか、と言われれば、答えはYesでもありNoでもある。愛せることを探すべきか、今やっていることを愛するべきか。今やっていることを愛するためには、何を変えなければならないのか。これを2009年の命題として、大きなチャレンジを続けていきたい。"I'm convinced that the only thing that kept me going was that I loved what I did. You've got to find what you love. And that is...
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Kaiserswerth

「毎日家でごろごろもね」ということで、デュッセルドルフ郊外にあるKaiserswerthへ。Kaiserswerthはかつてのドイツ帝国直属都市であり、中世の要塞都市なのだとか。中世の建物がそのまま現存していたりもする、とても雰囲気のある街。ライン川沿いは要塞都市とか古城とか、歴史深い街がまだまだありそう。写真は、神聖ローマ帝国皇帝のフリードリヒ1世(通称赤髭王バルバロッサ)の居...
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とらや「懐中汁粉 小鼓」

妻の友人が日本からのおみやげにくれたとらやの「懐中汁粉 小鼓」。これは絶品。とらやはカフェをやったりパリに出店したり、伝統的な和菓子の世界観を積極的に広げようとしていて、「Made in Japan」ブランドとして応援したい企業の...
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The Maasai

旅も終盤に差し掛かり、マサイマラ国立保護区のすぐ近くにあるマサイ族の村を訪問。マサイ族がジャンプするのは、神に近づく行為らしい。村で最も高くジャンプできる男は、美しい妻を娶ることができるという。宿泊したロッジでもこの村でも、マサイ族は踊りで出迎えてくれるが、踊りとは歌いながら「ジャンプ」することである。はっきり言って、飛びすぎ。草履みたいな靴を履いて、なんでこんなに飛べるのか。住居や生活は驚くほど原始的で、にわかには信じられない。「日本に結婚していない女友達はいないかい?連れて来てくれたら牛と交換しよう。」と言われる。牛はいらないし、その発想自体に呆れてしまう。元来、マサイ族は非常に勇敢でプライドも高いらしい。たしかにその通りなのだろうが、観光に訪れるようなマサイ族は、商売っ気を出しすぎているきらいがある。「写真を撮られると寿命が縮むと信じているので、撮影厳禁」と教わったのに、当の本人たちは「どんどん写真を撮ってくれ」という有様。村を案内してくれ...
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The Masai Mara

ライオンに襲われ息絶えたバッファロー、チーターに襲われたばかりのトムソンガゼル(=写真)、摑まえた小さな鳥を離さないハゲワシ…。ケニアとタンザニアの国境に位置するマサイマラ国立保護区は、肉食獣と草食獣がともに生息し、その数もケニア随一を誇る。ここでのルールは、まさに「弱肉強食」。当たり前のことだが、当たり前のことが当たり前に繰り広げられている日常をお目にかかったのは人生で初めてだ。下半身を喰われたバッファローと、それを見張るライオン、さらに高い木の上から虎視眈々とライオンの隙を窺うハゲワシの群れが織り成す光景には恐怖すら覚える。「生態系」というのは本当によくできている。ライオンはバッファローやヌー、シマウマなどの大型動物を狙い、チーターはトムソンガゼル、トピなどの小型動物を狙う。食べ残しはハイエナやハゲワシが骨まで食べつくす。特定の動物だけに食事が偏ることがない。草食動物でも、背の高いキリンは高い木の上の葉を好み、象は木の足元の葉を好む。シマウマ...
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Lake Nakuru National Park

アンボセリを離れ、一路ナクル湖へ向かう。ナクル湖はナイロビの北西160kmにあり、この日はランチを挟んで一日中ドライブ。ケニアに来て驚いたのは、日本車の多さ。なんでもこの国の車の8割は日本車らしい。我々のサファリカーも当然トヨタ車。それ以外にも、電話機や水道管など、あらゆるものが日本の開発援助によるものなのだそうだ。「日本にはいろいろお世話になっているからね」と話すケニア人は多い。フラミンゴの生息する湖として世界的に有名なナクル湖では、その数は最大で200万羽を超えたという。この季節は比較的少ないらしいが、それでも数千はいただろうか。湖面を埋め尽くすフラミンゴの群れにはただただ圧倒される。ナクル湖ではクロサイにも遭遇。こちらは恐竜そのもの。こんな動物が生息し、ごく自然に歩いていることにあらためて世界の広さを感じさせら...
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Amboseli National Park

ビクトリア湖の朝焼け 100万羽のフラミンゴが一斉に翔び発つ時 暗くなる空やキリマンジャロの白い雪 草原の象のシルエット何より僕の患者たちの 瞳の美しささだまさしの「風に立つライオン」を聴いて以来、ケニアは、そしてキリマンジャロは、僕の憧れだった。アンボセリ国立公園は、ナイロビから南へ250kmに位置し、ヘミングウェイが「キリマンジャロの雪」を執筆した場所でもあるそうだ。朝ナイロビのホテルを出て、途上国特有のゴムが焼けるような臭いの中、サファリカーで南に向かう。ナイロビ市内を出ると同時に、道路は未舗装となり、車はガタガタと音を立てながら砂埃を巻き上げながら、時に激しく揺れたり、パンクしたりしながら、国立公園を目指す。約5時間のドライブの後、ようやく公園内に辿り着く。ようやく辿り着いた公園、しかしキリマンジャロはその姿を見せない。昼間は雲がかかっていることが多く、山頂を見たいのなら、日の出直後の早朝がチャンスなのだとのこと。気を取り直して翌朝、日の...
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謹賀新年

あけましておめでとうございます。今年はデュッセルドルフにある浄土真宗のお寺に初詣。皆様、本年もどうぞよろしくお願いし...
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Thank you for what you have done for me

ケニアから無事戻りました。書きたいことはいろいろありますが、ドイツもあと1時間少々で新年ということで、詳細は来年に。今年は結婚と海外赴任という、公私共に大きな変化がありました。結婚は僕に、「人間は一人で生きているわけではない」ということを心底実感させてくれましたし、海外赴任は、井の中の蛙であった僕に、世界の広さと、その裏返しとしての日本という国のアイデンティティを考える機会を与えてくれています。また、モルディブ&マカオへのハネムーンを皮切りに、韓国、ドイツ、ベルギー、フランス、チェコ、オーストリア、スイス、ケニアと、10カ国を旅したことも大きな財産になりました。まずは、今年一年、僕を支えてくれた皆様にこの場を借りてお礼を言いたいと思います。本当にありがとうございました。そして何より、身勝手な僕につきあわされたことで、僕以上に大きく生活が変わったにも関わらず、毎日変わらぬ笑顔とつつみこむような優しさで、隣で支えてくれた妻に心から感謝してます。ありが...
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