同僚のヨルグは、コンサルファームや投資銀行を転々とし、さらにドイツ空軍で兵站を担当していた経験もあるドイツのエリート。他のドイツ人と違って体型もスマート、見た目も若いが、実は40を超えているそうだ。イギリスに留学経験があるらしく、英語は訛りの強いブリティッシュで、時折聞き取れない。ディスカッションの時に時折見せる鋭い眼光は、軍隊時代に養われたものなのだろうか。怒らせると怖そうだ。彼とディスカッションをしていていつも感じるのは、気づいたら自分が説明責任を負わせれている、彼に対して報告義務がある、そんな関係で話が進んでいることだ。ミーティングのイニシアティブをいつも取られてしまう。自分の思い描いていたシナリオを簡単に破られてしまう。一体何がそうさせているのか、よくよく観察してみると、彼は「間合い」の取り方が抜群にうまいのだ。例えば、彼に何か意見を求めるとする。すると彼は、"In my point of view"と高らかに言った後、すぐに意見を言わず...
ロシアショック、ほか
サラリーマン「再起動」マニュアル(2008/09/29)大前 研一商品詳細を見る「知の衰退」からいかに脱出するか?(2009/01/23)大前研一商品詳細を見るロシア・ショック(2008/11/11)大前 研一商品詳細を見る大前研一氏の本を3冊。普段からWEBページやメルマガなどで、折に触れ氏の考えを読んでいたので、総論としての真新しさはないが、総論から紐解かれた各論の解釈は、賛成できるもの、しかねるものあるが、本当に多方面にアンテナをはっているな、と驚嘆させられる。今回読んだ中では、「ロシア・ショック」は新鮮でおもしろかった。��新鮮でおもしろかったなどと言っている時点で氏には怒られそうだが)モスクワはここから3時間の距離だし、近いうちに是非行ってみねば。��以下、備忘録)ソ連崩壊前の科学技術研究者の数を見ると、人口一万人当たりの研究者数はソ連が53人でダントツの世界一だった。ロシアと比較した場合、中国にないものは人材と資源、インドにないものは...
Leica D-LUX 4
カメラ買いました。硬派なデザインのLeica D-LUX 4。一眼レフは、写真撮る気まんまんの日に持ち歩くにはいいのですが、そうでない日や、仕事の時などは、どうしても一眼レフは仰々しくなるので、サブで使えるコンパクトが欲しくて。この製品、パナソニックのOEMなので、基本的なスペックはパナソニックのLumix LX3と同じですが、RAWデータ加工ソフトを通すことでLeicaの味付けがなされるそうです。どんな写真が撮れるのか、ファーストショットは何を撮るか、、、楽しみ...
Bahn Card
Bahn Cardは、DB(ドイツ鉄道)が発行する会員カードのようなもので、年会費に応じて、25%から最大100%まで、ドイツ国内の全ての鉄道料金の割引が受けられるカード。ちなみにDBはDeutsche Bahnの略とばかり思っていたが、どうやらDie Bahn(英語にするとThe Railway)の略らしい。今回申し込んだのは、Bahn Card 25で、1年間鉄道料金が25%割引になる。ドイツに来た当時は電車をどれだけ使うか見当もつかなかったので、なかなか申し込めずにいたけど、仕事で電車に乗る機会が増えてきたので、この機会にと思って加入。早速使いたいな。どこ行こう...
Tout change rien ne change
僕はもともと「ブランド」に弱い。それこそ昔は、とにかく憧れのブランドモノを手に入れたくて、その価値もわからずに背伸びをしていた時期もあったし、今でもその傾向はある。当初はとにかくブランドの世界観に触れたかっただけだったけど、最近思うのは、長きにわたって評価されている一流ブランドというのは、いずれ劣らぬブランド哲学があり、信念があり、時代に翻弄されながらも決しておもねることなく、自らの世界観を愚直に貫き通したからこそ一流である、という、何とも筋の通った、かっこいい生き様に僕は魅了されるし、そういう話が好きなのだと思う。そして、そういう話で単純に感動してしまう自分も嫌いではない。中でも、僕がもっとも憧れているのが、エルメスの世界観。馬具用品店として名を成したエルメスだが、第一次世界大戦後の自動車の普及によって、馬車が移動の主役である世界は終わりを告げようとしていた。三代目エミール・エルメスは、馬具だけでは生き残れないとの思いから、鞄や手袋などの革製品の製造を開始。誇り高き馬具職人を説得し、革製品を作ってもらうには、相当の軋轢があったようだ。実際、革製品への事業展開を機に、エミールの兄であり、生粋の職人であったアドルフはエルメスの経営権を売却し、兄弟の袂を分かつに至ってしまった。その後もエルメスは、世界恐慌や第二次世界大戦など、時代に飲まれそうになりながらも、馬具商という原点を忘れることなく、しかし、未来を見据えて新たな挑戦をし続けている。Tout...
オンリーワンは創意である
オンリーワンは創意である (文春新書)(2008/09)町田 勝彦商品詳細を見る液晶に経営資源を集中し、アクオスブランドでシャープを一躍トップブランドにした町田社長による変革の回顧録。シャープはたしかに一流ブランドになったし、世界での知名度もぐんと上がったように思う。液晶の次として取り組んでいる太陽光発電も、日本以上に欧州で存在感をアピールできるだろう。本書でも書かれているが、シャープの成功は、液晶テレビのキーデバイスである液晶パネルを自社生産できた点にある。逆にキーデバイスを持たなかったブラウン管では苦労の連続だったようだ。「世界の中での日本」の戦い方の1つは、まさに、高い技術力を活かして次世代商品のキーデバイスをいち早く開発し、世界に供給するモデルだと思う。その意味で、僕は、シャープが亀山をはじめ国内に工場を持ち、自らアセンブリーまで行って、最終製品である液晶テレビを販売する、というモデルにはいまひとつ賛成できない。前にも述べたが、生産、特にアセンブリーに関しては、日本の付加価値は決して高くない。シャープの場合は、テレビだけでなく白物も持っているので、自社ブランドのテレビに付加価値を持たせることが白物のブランド価値向上につながり、結果として会社全体の収益向上が期待できる、との見込みがあったのだろうとは思う。しかし、キーデバイスである液晶パネルの段階が、この製品の付加価値としては最大で、組み立てや販売をシャープのみで行うことで、最終製品としての付加価値はどうしても落ちてしまう。現に、収益面では厳しいものの、ソニーは液晶パネルを外部調達しながら液晶テレビの世界トップに躍り出た。驚くほどのブランド力、販売力である。シャープが自社ブランドに拘らず、ソニーに液晶パネルを提供していれば、結果的に世界中で売れるシャープの液晶パネルの量は格段に増えていたのではないか。収益性としても、今以上に高くなっていたと思う。もちろん、「自社ブランドのテレビを」という思いはよくわかるが、最終製品ブランドとして世界で戦える日本企業は、ソニーくらいのものだ。日本全体を考えると、最終製品ブランドへの拘りを捨て、キーデバイス開発とその外販に「集中」していくことこそが、1つの道だと思う。��以下、備忘録)---------------------------------------------------------------------2001年に生まれたアクオス一号機は、左右に大きな丸いスピーカーで、テレビは四角いものという、当時の常識を覆した個性的なデザインだった。しかし営業は、「こんなもの売れません」と苦い顔をし、アメリカのセールスマネージャーからは、「このデザインはテレビらしくない」と苦情が届いた。しかし私はその形にこだわった。液晶モニターと区別するためには、中途半端なデザインでは、売り場で明確なメッセージを発信することができない。注目されなければ、名前とデザインを変えた意味がない。物議をかもすということは、それだけインパクトがある証拠なのだ。ブランドを確立するための宣伝は、お客様の心に届くまで徹底して継続すること...
アジア三国志
アジア三国志(2008/06/06)ビル エモット商品詳細を見る今後のアジアの巨大な可能性と、そこで覇権争いを繰り広げるであろう中国、インド、日本の3国についてその現状と今後の展望、リスクを語ったのが本書。身近な中国とインドで何が起こっているのかが(かなり冗長だが)よくわかるのと、特に日本がどう見られているのか、を知るきっかけとして興味深い一冊。いろいろと気づきはあったのだが、最大の発見は次の点。「OECDによる日本の実質GDPの予想成長率は1.4%にすぎない。つまるところ、日本の労働力はいずれ縮小するのだし、この10年間の生産性成長は微々たるものだった。1991年から2001年まで年間1.5%だった生産性成長率は、2002年以降は2%に上昇した。だが、経済が回復しているなら、ふつうはもっと速い生産性の成長を示す。なぜなら、それは企業が労働者を増やさずに生産を増やしている証拠だからだ。この経済サイクルのあいだに1.5%から2%の小幅な上昇では、基本的な部分が変わったとはとうていいえない。もっと画期的なものが必要だ」日本の強みとしてよく語られるものの1つに、「トヨタ生産方式」「カイゼン」「見える化」などに代表される、生産性の高さがある。現場の生産性が極めて高く、不良品率が低く、結果として製品品質が高い。実際、Made...
Luxemburg
ルクセンブルクは、デュッセルドルフから約200kmの距離にあり、車だと2時間程度で行けてしまう。デュッセルドルフから200kmと言えば、ベルギーのブリュッセルやアントワープ、オランダのアムステルダムもだいたい同じくらいであり、このあたりは身近な外国である。「EU」という枠組みの存在感が増した今、いや、むしろそれ以前からかもしれないが、日本にとって、日本企業にとって、ヨーロッパは1つの経済圏、文化圏として考えられがちだ。欧州戦略という大戦略はあっても、各国ごとの戦略はあまり聞くことがない。「大欧州、十把一絡げ思考」で、各国の多様性にまで意識が及んでいないことが、日本企業が欧州で苦しんでいる1つの原因である。わずか200kmでも国境をまたぐと、そこは全く別の経済圏、文化圏であると痛感する。ルクセンブルクは、とにかく食事がうまい。サービスも、日本には及ばなくても、ドイツと比べれば雲泥の差がある。国民1人あたりGDPが世界一の、この豊かな国では、店はどこ...