宮城谷昌光

第一子が生まれるまであと1か月を残すばかりになりました。妻の妊娠が発覚したのが3月、それからあっという間の半年間でしたが、そろそろ名前の候補を考えなければなりません。 いくつか本を読んでみると、名前の考え方も、「音から考える」「使いたい漢字から考える」「画数から考える」「イメージから考える」などいろいろあって、はてどうやって決めたものか。これはなかなか悩みます。なにしろ一生ものですから。 そもそも僕は自分の子にどんな人間になってもらいたいのか。まずはそこがスタート地点だと思いました。それを考えるには、自分が最も感銘を受けた本を読み返してみよう、そこに自分の価値観を探るヒントがあるにちがいない、ということで9月は僕の座右の書である宮城谷昌光を再読。 「孟嘗君」(文庫本全5巻) 孟嘗君(1) (講談社文庫) 宮城谷 昌光 講談社 1998-09-04 売り上げランキング : 54789 Amazonで詳しく見る by G-Tools 宮城谷昌光の最高傑作。僕が彼の小説に本格的にのめりこんだのもこれを読んでから。 高校1年の時に初めて読んで、以来2-3年に一度は再読してます。何度読んでも学びが多い、まさに座右の書。 人になにかをしてやるというのは、自分なりの善意の表現であり、それで満足すべきであり、恩を返してもらおうとわずかでもおもえば、自分の善意がけがれる。 公孫鞅が風洪の金でなんとかなり、やがて他人にひとつでも善いことをすれば、風洪の金は生きたわけであり、わざわざそれをみせてもらうまでもない 「富がまぼろしであるといったのは、たとえば、外国の軍が趙に侵攻してきて、邯鄲が落ちるということがある。そのとき、わしの家も工場も破壊される。わしは以前の徒手空拳にもどる。あるいは君主が暗愚で苛政をおこない、民衆が叛乱をおこしても、邯鄲は崩壊し、わが家もつぶされよう。だが、わしはすぐに立ち直る。なぜなら、わしは財を蔵に積まず、人に積んでいるからだ。人が手をさしのべて、わが家も再興してくれるであろうし、わが家ができることで、多くの人は分配される富を手にすることができる、わかるか」(郭縦) 田文の人格について、まず『思いやりがある』とほめ、田文のなかにある仁の資質をあげ、つぎに、『口にしたことはかならず実行する』という信のたしかさを誇るように語った 「それは、ありがたい。そのうえでいうのだが、ここにあるのは水との戦いだ。はっきりいって人と戦うよりむずかしい。負ければ容赦なく殺され、その戦死は、いっさいの名誉から遠い。だれのつぐないも、悼みも期待できない世界がここにある。いわば純粋な奉仕だが、それだけにこの仕事は尊い、とわたしはおもっている。わかってくれようか」(田文) 「公孫鞅の失敗は、その仁義をおろそかにしたことにある。白圭の成功は、おそらく、いのちがけで仁義をまもってきたことにある。仁義ということばは、中華がもちえた最高の理念をあらわしている。それがわかる者が天下を制御してゆくのです」(尸佼) 「文どの、人生はたやすいな」 「そうでしょうか」 「そうよ…人を助ければ、自分が助かる。それだけのことだ。わしは文どのを助けたおかげで、こういう生きかたができた。礼をいわねばならぬ」 「文こそ、父上に、その数十倍の礼を申さねばなりません」 「いや、そうではない。助けてくれた人に礼をいうより、助けてあげた人に礼をいうものだ。文どのにいいたかったのは、それよ」 「管仲」(文庫本全2巻) 管仲〈上〉...
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陽はまた昇る

陽はまた昇る [DVD] 佐藤正明 JVCエンタテインメント 2002-12-20 売り上げランキング : 34652 Amazonで詳しく見る by G-Tools ビジネスの話で、「デファクトスタンダード」がテーマにあがると必ずと言っていいほど例に挙がるVHSとベータの開発物語。 すごくいいですね、この映画。 どこまでが事実に基づいているのかわかりませんが、VHSが相当土壇場まで追い込まれていたとは知りませんでした。 この映画のハイライトは、何といっても西田敏行演じる事業部長の事業への情熱が、チームを一丸にし、本社経営陣を覚悟させ、さらには競合メーカーまで説得する、というストーリーなんだと思います。 僕も大きな組織に属すようになってわかりましたが、ものすごいエネルギーが必要ですよね、これ。 自分のやりたい方向性が組織の「空気」と反対を向いている時って、ほとんどの人に話が通じないし、説得できないし、動いてもらえない。 この映画の...
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写真展めぐり

連休中は6つの写真展と国際的な写真の見本市であるTokyo Photo 2011に行きました。 野口里佳「光は未来へ届く」(IZU PHOTO MUSEUM) 「小さな宇宙と大きな宇宙、微視と巨視を行き来する独自の視点で、野口里佳は不思議さに溢れたこの世界を写しとります」 なるほど彼女の写真は被写体との距離感が独特。 被写体に親しみを持っているわけでもなく、かといって距離をおいているような冷たさはなく、遠くから被写体が身を置く世界を温かく包むような写真。 光をすごく大切にしているんだと思いますが、光に全てを語らせるわけではない。 こういう写真を撮るのは難しいなぁ。。自分と世界との向き合い方だと思うんですよね、この撮りかたって。 「写真から表現意図が読み取れる写真」と「そうでない(読み取りづらい)写真」とに分類するとすると、野口里佳は後者だと思う。 ロバート・フランク「Flower Is」(Gallery Bauhaus) 「The...
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ご無沙汰しております

久しぶりに書こうと思うのですが。。何から書いたものかわからないですね。 今日のランチは広尾の「太桜」という中華料理を食べました。かつてこのあたりに住んでいた、妻のお父さんに連れて行ってもらったのがきっかけのこの店。古くからあるんだろうなーという店構えで、味もよく、広尾では考えられないお手頃な価格ということもあって、それ以降も妻と足を運んだり、一人で食べに行ったりしてます。毎回餃子タダ券くれるんですよね。もう最初から餃子セットなんじゃないかって気がしてきますが、タダ券あると行っちゃいますよね。同じように考える人が多いのか、店は食事時はもちろん、今日は夕方4時くらいに行ったのに全てのテーブルが埋まってました。4人組の学生さんがいて、彼らは餃子チケット持ってない様子。 「担々麺に餃子をつけたら1050円かぁ。。うーん。。」 次回からは餃子のこと気にせず注文できるよ。これで君も常...
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