Maurizio Pollini (マウリツィオ・ポリーニ)
1942年1月5日生まれ。イタリア、ミラノ出身。
第6回ショパン国際ピアノコンクール優勝。
ギリシア彫刻にも比せられる芸術性と透徹したピアニズムにより、他を圧する存在として、ピアノ界のトップの中にある。
一方で、「完璧すぎる」「冷たい」「機械的」などの批判も出たが、それらは彼の硬質なタッチに加え、決して感情におぼれず深く計算された高い完成度ゆえであろう。
��以上、Wikipediaより)
彼のショパンのエチュードを、仕事中に繰り返し聴いていた時期がある。
当時は、クラシックを聴くのが楽しくて、ポリーニ以外にも、アシュケナージ、クリスチャン・ツィマーマン、ホロヴィッツ、ルーヴィンシュタイン、アラウ、アルゲリッチなどのCDをiPodに入れて聴いていた。
僕はアシュケナージが特に好きで、彼の弾くショパンの英雄ポロネーズに感動して、ピアノ教室に通おうかと考えたこともある。
一方で、演奏としての完成度は、間違いなくポリーニが一番だと思う。彼の演奏には、一切のムダがない。
そのポリーニが、ボンで開催されている「ベートーヴェンフェスト」の中でコンサートをやる、というので、早くからチケットをおさえて、この日を楽しみにしていた。
デュッセルドルフからボンまでは電車で1時間、ボンの中央駅から会場のベートーヴェンホールまでは、歩いて30分ちょっと。
ベートーヴェンホールは、それほど大きなホールではなく、会場としては東京のサントリーホールなどのほうが優れているように思う。
しかしそのぶん、ピアノが非常に近い。
会場に着いて、一番驚いたのは、客席のドイツ人が皆正装をしていること。
男性はビシッとしたスーツ、女性はドレス。
一応ジャケットは羽織っていたものの、ジーンズで会場入りした自分が若干恥ずかしくなる。
日本のコンサートでは、カジュアルな服装の人も多いのだけど・・・。
この日弾いたのは全部で4曲。もちろん全てベートーヴェン。
1. ピアノソナタ第4番 変ホ長調 作品7
2. ピアノソナタ第11番 変ロ長調 作品22
3. ピアノソナタ第17番 ニ短調 作品31-2("テンペスト")
4. ピアノソナタ第23番 ヘ短調 作品57("熱情")
Wikipediaにもあるように、ポリーニの演奏は、「機械的」なほどに完璧であり、であるがゆえに冷たいという印象があった(現に僕が聞いていたショパンのエチュードもそう感じられなくもなかった)が、この日の演奏でその印象は見事にくつがえされた。
歳を重ねたせいもあるのかもしれないが、白髪のピアニストは、感情表現豊かに音を奏で、時にはとても高齢とは思えないほど激しく鍵盤を叩く。
特に、最後の「熱情」は鬼気迫るすさまじいものがあり、第3楽章後半部分では、鳥肌が立ち、視線を逸らすこともできないほどの力のこもった演奏。
最後は観客総立ちでスタンディングオベーション。
聴きに来て本当によかった。
これを機に、またクラシック熱が再燃しそうである。
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