子供が生まれました

10月27日、第一子となる男の子が生まれました。 この期に及んで、父親になったという実感も責任もほとんどないわけで、正直親としてどうなのかと自分を疑いたくなります。 それでも、彼が妻と一緒に家に帰ってきて、毎日一緒に過ごすようになってから、すごく素直にその状態を受け入れらるし、親としてできる限りのことはしたいな、と静かに思ったりしています。 自分の子をどう育てるかなど、ちゃんと考えたこともないし、育てながら自分も学ぶというのが実際なのだと思います。 昔、仕事でチームを率いるようになった頃から、当然といえば当然ですが、どうやって部下を成長させるか、言葉を変えれば、リーダーとしてどうあるべきかを悩みました。 いろいろな本を読みましたし、研修にも参加しましたし、それこそいろいろな考え方があると思いますが、僕は福島正伸先生の講演で聴いた話が一番しっくりときたので、今でもそれを座右としています。 文章は正確ではないし、福島先生に語ってもらうと圧倒的に名言なのですが、以下にそれを記しておきます。 "ある日、僕はとある小学校に講演に呼ばれて、『将来の夢』について話をしました。 どんな夢を持っているかを聞いたところ、「駅前でティッシュ配りがしたい」とか、「スーパーでレジをうちたい」とか、「猫になりたい」とかという答えが帰ってきました。 僕は、すごく驚いたと同時に、こういう夢しか持てなくなっている現代の小学生を残念に感じました。 僕がその思いを担任の先生に話すと、先生からは次のような言葉が帰ってきました。 「先生、彼ら彼女らがそういう夢を持っているのは、決して未来を悲観してるからではありません。満面の笑顔でティッシュを配る人、元気いっぱいに『ありがとうございました』というレジのお姉さん、幸せそうな顔で寝ている猫を見て、自分も笑顔で仕事をしたい、という思いからそう言っているのだと思います」 僕は頭をがつーんとやられた思いがしました。 ティッシュ配りやレジ打ちを夢にできないのは子どもたちではなく、自分自身だと痛感したからです。 全ての仕事は夢の仕事にできるのに、自分がそのことを忘れてしまっていたからです。 子どもというのは、大人をすごいと思っています。 そんな大人が感動したり、心から楽しそうにしている姿は、子どもの究極の目標、夢になり、子どもはどんな苦しみでも受け入れられるようになります。 プロ野球選手やサッカー選手が子どもの夢の上位にくるのは、大人が本気で感動して抱き合っている姿を見ているからなんです。 だから、リーダーとして、部下を教育しようとか、成長のために課題を与えようとか、そんなことは思わないでください。 そんなことより、あなたが全力で課題に取り組んで、困難を乗り越え、仕事を楽しんでいる姿を見せてあげてください。 そういう上司を見ると、部下は必ず自分もそうなりたいと思います。自分で困難を乗り越えようとがんばります。 土日が待ち遠しいリーダーからは、土日が待ち遠しいと思う部下しか生まれません。 あなたが楽しく働いている姿が、部下を成長させる一番のエネルギーになります" 僕は、人生が始まったばかりの彼に、世界の楽しさを精一杯伝えたい。 そして、そのためにも、これまで以上に、あらゆることに挑戦し、自分の人生を精一杯楽しみたいと思っています。 "Have...
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「奇貨居くべし」に学ぶ5つの人生訓(2)

人生訓その2は、「2. 日々の積み重ねが未来を形成する」です。 ーわたしは運がよい。 と呂不韋はおもう。奴隷にされるという最悪なときに、孫のようなすぐれた先生にめぐりあえて、教えをうけることができた。人の力を過大に考えるわけではないが、努力を積み重ねてゆけば、人はおもいがけない力を発揮するようになる。自分が自分におどろくようにならねばならぬ。不運や不遇を嘆き、他人の薄情さを怨んでいるうちは、自分が自分を超えていない。努力が足りないあかしである。ほんとうの高みに登れば、展望がひらけ、風が変わる。人の世の風も変わるのである。 「理由のないことは起こらない。自分からでていったことは自分にかえってくる」 と呂不韋は孫子にさとされたことがある。 未来は起こるのではなく、起こすものであろう。自分の現在と過去からでていったものが、未来としてかえってくるのではないか。 呂不韋はそうおもいたい。 一日に千里を...
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MR PORTER

イギリスに拠点をおくメンズファッションのオンラインショップ、MR PORTERで、DUVETICAのダウンジャケットを買いました。 Dionisio Padded Full Zip Jacket このショップ、初めて買ったのですが、届いてみてそのサービスの質の高さに驚きました。 久しぶりに気分がよかったので、ここに書き留めておきます。 まずは注文してから届くまでの速さ。 注文した翌日に"Your order dispatched"(出荷しました)のメール、それから2日後にはマンションに不在票が投函されていて、今日再配達してもらいました。注文してから届くまでわずか4日。イギリスから発送しているのに、下手な国内サイトより速いです。 次に、信じられないほど丁寧な梱包。 ダウンジャケットを、MR PORTERオリジナルのガーメントに包み、それを包装紙でくるみ、さらにオリジナルのGift Box(写真奥)に梱包し、それが段ボールに入れられて送られて...
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「奇貨居くべし」に学ぶ5つの人生訓(1)

奇貨居くべし 天命篇 (中公文庫) 宮城谷 昌光 中央公論新社 2002-04 売り上げランキング : 49177 Amazonで詳しく見る by G-Tools 少し前にも書きましたが、宮城谷昌光の「奇貨居くべし」がようやく読み終わりました。 実に人生訓に富んだ傑作で、「本からの学び」という意味では「孟嘗君」以上ではないでしょうか。孟嘗君は貴賓に生まれ、生まれながらの大才、という印象ですが、呂不韋は商人の子として生まれ、家族の愛から遠かったり、奴隷になったり、命を落としかけたり、苦難の連続の中で成長していくので、大業を成し遂げる人と平凡に生きて終わる人との違いが浮き彫りになっていたように感じました。まさに座右の書。何度も読み返すべき本だと思います。 呂不韋の生きかたの中で、僕が特に肝に銘じておくべきだと感じた5つの人生訓を書き残しておきたいと思います。相当長くなりそうなので、1つずつ。 1: 人を活かすことが自分を活かす 孟嘗...
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Ninpu Talk with LiLy

今日は一風変わった本ですが…妻からの課題図書を読みました。 Ninpu Talk with LiLy LiLy 講談社 2011-07-01 売り上げランキング : 10075 Amazonで詳しく見る by G-Tools 妻の出産予定日まであと10日程度にせまってますが、実のところ、僕は今になってもほとんど実感がないのです。もちろん、妻のお腹を触れば胎動は感じるし、家は徐々に赤ちゃんグッズが増えるしで、以前よりは実感が増してはいるのですが、なんとなく遠い未来の話をしているようで。。そんな様子を見てるせいか、妻からは「この本を読め」と。普段僕もあれ読めこれ読めと本を薦めてるので、まあたまには薦められた本もね、ということで、TSUTAYAでコーヒー片手に読んでみました。 妊娠発覚から出産まで、章を追いながら時系列で描かれていて、前半はまあ淡々と。で、最後の2章が、2人の女性がそれぞれ出産する場面なんですが、文章力のある作家さんが書い...
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経済危機のルーツ

経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか 野口 悠紀雄 東洋経済新報社 2010-04-09 売り上げランキング : 42202 Amazonで詳しく見る by G-Tools 日本経済のこれからを考える上でよいインプットをくれた本。非常に有意義な読書。 日本が製造業依存から脱却しなければならないと言われだして久しい気もするし、ものづくりこそ日本の強みという論調が今でも根強いような気もしますが、僕個人としてはやはり製造業依存から脱却しなければならないように思います。 (厳密に言うと、アッセンブリーまでを自分でやるというモデルとしての製造業のはもうやめたほうがいいし、自社ブランドにこだわる必要もない、ということ) アッセンブリーは労働集約的で、人件費の高さがネックになるし、この本に書いてあるとおり歴史的にも製造業は一人当たりGDPが相対的に低い国が、通貨価値が相対的に安いことと相まって世界を牛耳っているのだから、そういう意味でも日本の役目は終わったのでしょう。 製造業という意味では、以前に書いたように、「Appleのiphoneの利益の約35%は日本企業が取っていて、それは他のどの国よりも多く、iphoneが売れて一番もうかるのは日本」みたいな中間財でもうけるビジネスモデルが理想だと思ってます。 「細部にまでこだわる」といわれる日本人気質は、完成品でやっちゃうと「過剰スペック・高コスト」という負の側面に陥りがちだけど、部品とか素材レベルでは「高い技術力に裏打ちされたキーデバイス」といったようなプラスの側面が作用する可能性が高いように思うので。 一方で僕は、ドイツ駐在時の日常生活での体験や、欧米人の同僚との会話から、日本の最大の強み(欧米人が真似できない、かつ尊敬していること)は"politeness"や"hospitality"だと実感し、であるがゆえにサービス業の海外輸出を今後のキャリアディベロップメントの柱に据えようとまで考えているのだけど、ここでいうサービス業ってなんだ!?というのが問題。 というのも、politenessやhosipitalityと聞いてすぐに思いつく産業は観光・ホテル業だったり外食産業だったりですが、問題はこれらの産業がどちらかというと労働集約的で、労働生産性が低く、たとえ製造業からこれらのサービス業に産業構造を転換したとしても、国の生産性を上げることにつながらなさそうなのです。 politenessとかhospitalityって人の性格として蓄積されていくものなので、素直にアウトプットをすると労働集約的なサービス業、となるのはある意味当然なのですが、それではだめだというのを本書を読んで再認識させられました。 人がそのままやることではなく、そういう人たちだからこそできる産業だったり、プラットフォームだったりに転換できるといいのですが。。 医療とか、アニメやコミック含むコンテンツとか。。このへんは引き続き考えていきたいと思います。 シンガポールなんか上手に国を発展させてるなぁと感じるので、一度しっかり勉強してみるべきですね。 (以下備忘録) ----------------------- 【序章 なぜ歴史を振り返るのか】 80年代においては、社会主義経済の失敗が明らかになった。中国も工業化した。これは、製造業に関する条件を大きく変化させるものであった。それまで社会主義経済圏に閉じ込められていた膨大な数の労働者が、資本主義経済の枠内に参入し、その結果、製造業の生産コストが大幅に低下した。 【第1章 現代世界経済の枠組みが1970年代に作られた】 石油ショックとは、さまざまな財・サービスの相対価格が調整されていった過程である。 「価値の基準であり続けたのは、金との兌換停止によってペーパーマネーとなってしまったドルではなく、金であった」と考えれば、原油価格は格別に上昇したわけではなかったのだ。むしろ「金表示の原油価格が不変に保たれた」と言うべきであろう。 石油ショックとは、原油という特殊な財の価格が変わっただけの過程ではなかった。むしろ通貨の価値が金との関係において、またさまざまな国の通貨間で、調整された過程だったと考えることができるのである。 日本と西ドイツが石油ショックに対して適切に対応できたのは、経済システムの優劣ではなく、むしろ、日本もドイツも通貨が増価した国であったことだ。そしてイギリスやイタリアの通貨は減価した。ドルに対して増加した通貨の国では、原油価格上昇の影響は緩和されたことになる。 西ドイツでも日本でも、戦災によって戦前からの工場の多くが失われた。しかしそのために、新しい技術体系にあった新しい工場を造ることができた。技術が大きく変化した世界では、生産性向上のために、そのほうがかえって望ましかったのだ。それに対して、イギリスやアメリカは、戦前の古い技術体系(蒸気機関)から完全は抜けだせなかった。 高度経済成長の基本は、農業経済から工業経済への移行なのである。 50年から70年にかけての人口成長率は、イギリスでは13%だったが、西ドイツでは28%に及んだ。人口成長率が高ければ、それだけで経済全体の成長率は高くなるが、若年者が多いために労働生産性も高まる。また高齢化に伴う社会保障負担が低くなる効果もある。 日本や西ドイツでは間接金融中心で巨大銀行が存在し、工業化のための資本供給で重要な役割を果たした。 企業の重要決定に労働者が参加する共同決定法の背景にあるのは、階級意識が希薄であるドイツ社会の構造だ。 全体主義的・集計的体制は、新しい情報技術の下では効率が下がるだけでなく、生き延びることすらできない。社会主義国家の崩壊は情報技術の転換とほぼ同時期に起こっているのだが、これは偶然ではなく、必然だった。 (メインフレームコンピュータから分散的情報処理システムへ) 【第2章 経済思想と経済体制が1980年代に大転換した】 70年代のアメリカは、経済面でも政治面でも、最悪の時期を経験していた。 社会主義が保守的になってしまったのは、イギリスだけの特殊事情ではなく、むしろ共産圏において顕著な傾向だった。ソ連だけでなく東欧諸国においても、超高齢者が権力の座に座り続けていた。そして、「体制を変革するには気が遠くなるような努力が必要なので、そのままにしておいた」のである。 サッチャーが目的としてのは、既得権に守られた国内産業を支援することではなく、むしろそれらを排除し、競争力のある効率的な産業を育てることだった。重要なのは企業の国籍ではなく、企業のビジネスモデルであり、その遂行能力であるとされたのだ。 TINA(There...
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Cup Noodle

楽天オープン期間中に、ナダルがカップヌードル(主にシーフード)を30個食べたという噂を聞き、宣伝効果そのままにカップヌードルが食べたくなり、夕飯に2つも食べてしまいました。。 "ナダルは今大会、試合前や試合後にカップ麺を食べる姿が目撃されているが、「カップ麺ばかり食べているわけではない」とコメント。「鉄板焼きを食べたし、魚市場にも行った。世界中のどこの国でも、日本食を食べるようにしている」と述べた(2011/10/09 ロイター)" うまかったです。が、これでまたしばらくはおあずけにし...
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Rakuten Japan Open Tennis Championships Final

楽天オープン決勝戦。自宅で観戦しました。 なぜ準決勝は現地に観戦しにいって、決勝は自宅にしたのかと言うと、以前ローランギャロスに全仏の女子シングルス決勝(サフィナvs.クズネツォワ)を観に行った時に、けっこう一方的な展開で、1時間強でセットカウント2-0で終わってしまい、すごくあっけなかった記憶があったんです。 で、それなら準決勝のほうが2試合観られるし、準決勝まで来ればかなりの好試合になるのは間違いないし、ということで、今回は準決勝を現地観戦、決勝は自宅観戦にしました。 しかし、今日の決勝は「現地で観たかった!」と思わずにはいられない熱戦。 ナダルの出来は昨日とは明らかに違うし、そのナダルを1セットダウンから逆転で下したマレーは覚醒したかのように強かった。 惜しいことをしましたが、2人とも来年も来たいと言っているので、来年は決勝を観に行きたいです。 マレーはダブルスも優勝して大会2冠。おめで...
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Rakuten Japan Open Tennis Championships

今日は有明テニスの森で開催中の楽天オープンのシングルス準決勝2試合、ダブルス準決勝2試合の計4試合を観戦に行きました。 第一試合はナダルvs.フィッシュ。 ナダルは決して本調子じゃないように見えましたが、第一セットを取った後の第二セットは徐々にノッてきたようで、ナダルらしいショットがいくつかありました。 それよりおもしろかったのは第二試合のマレーvs.フェレール。 ストローカー同士の激しい打ち合い、マレーの200km/hを超すサーブ、非常に見応えがありました。 激しい打ち合いでしたが、少しずつマレーのほうが上回っていて、終わってみればマレーの圧勝でした。 個人的に2008年に初めてプレーを観て以来、マレーを応援し続けているんですが、今日は生でそのすごさを感じることができてよかったです。 その後のダブルスでもマレーがお兄さんとともに登場。 こちらもフルセットの末勝ち上がって、マレーは明日シングルスとダブルスの二冠を狙っての戦いになります。 ...
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鹿児島

写真は全く関係ないですが、日曜から火曜まで鹿児島に出張しました。 鹿児島を訪れたのは小学生の頃の家族旅行以来でしょうから、20年ぶりくらいでしょうか。 九州新幹線が全線開通したからか、鹿児島中央駅は新しい駅ビルが建っていて、思った以上に都会的でした。 鹿児島といえば、僕のお気に入り番組であるBSジャパンの「写真家たちの日本紀行」で、師岡清高さんが撮影していて、その回は僕の今年一番のお気に入りでした。 彼のような写真が撮れるようになりたいと思ってたこともあり、今回せっかく鹿児島を訪れるので、写真を撮ろうと思っていたのですが、残念ながら仕事におわれて全く撮れませんでした。 次回の出張に期待です。妻の出産が遅れるとかぶりそうなので、どきどきしてます...
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宮城谷昌光

第一子が生まれるまであと1か月を残すばかりになりました。妻の妊娠が発覚したのが3月、それからあっという間の半年間でしたが、そろそろ名前の候補を考えなければなりません。 いくつか本を読んでみると、名前の考え方も、「音から考える」「使いたい漢字から考える」「画数から考える」「イメージから考える」などいろいろあって、はてどうやって決めたものか。これはなかなか悩みます。なにしろ一生ものですから。 そもそも僕は自分の子にどんな人間になってもらいたいのか。まずはそこがスタート地点だと思いました。それを考えるには、自分が最も感銘を受けた本を読み返してみよう、そこに自分の価値観を探るヒントがあるにちがいない、ということで9月は僕の座右の書である宮城谷昌光を再読。 「孟嘗君」(文庫本全5巻) 孟嘗君(1) (講談社文庫) 宮城谷 昌光 講談社 1998-09-04 売り上げランキング : 54789 Amazonで詳しく見る by G-Tools 宮城谷昌光の最高傑作。僕が彼の小説に本格的にのめりこんだのもこれを読んでから。 高校1年の時に初めて読んで、以来2-3年に一度は再読してます。何度読んでも学びが多い、まさに座右の書。 人になにかをしてやるというのは、自分なりの善意の表現であり、それで満足すべきであり、恩を返してもらおうとわずかでもおもえば、自分の善意がけがれる。 公孫鞅が風洪の金でなんとかなり、やがて他人にひとつでも善いことをすれば、風洪の金は生きたわけであり、わざわざそれをみせてもらうまでもない 「富がまぼろしであるといったのは、たとえば、外国の軍が趙に侵攻してきて、邯鄲が落ちるということがある。そのとき、わしの家も工場も破壊される。わしは以前の徒手空拳にもどる。あるいは君主が暗愚で苛政をおこない、民衆が叛乱をおこしても、邯鄲は崩壊し、わが家もつぶされよう。だが、わしはすぐに立ち直る。なぜなら、わしは財を蔵に積まず、人に積んでいるからだ。人が手をさしのべて、わが家も再興してくれるであろうし、わが家ができることで、多くの人は分配される富を手にすることができる、わかるか」(郭縦) 田文の人格について、まず『思いやりがある』とほめ、田文のなかにある仁の資質をあげ、つぎに、『口にしたことはかならず実行する』という信のたしかさを誇るように語った 「それは、ありがたい。そのうえでいうのだが、ここにあるのは水との戦いだ。はっきりいって人と戦うよりむずかしい。負ければ容赦なく殺され、その戦死は、いっさいの名誉から遠い。だれのつぐないも、悼みも期待できない世界がここにある。いわば純粋な奉仕だが、それだけにこの仕事は尊い、とわたしはおもっている。わかってくれようか」(田文) 「公孫鞅の失敗は、その仁義をおろそかにしたことにある。白圭の成功は、おそらく、いのちがけで仁義をまもってきたことにある。仁義ということばは、中華がもちえた最高の理念をあらわしている。それがわかる者が天下を制御してゆくのです」(尸佼) 「文どの、人生はたやすいな」 「そうでしょうか」 「そうよ…人を助ければ、自分が助かる。それだけのことだ。わしは文どのを助けたおかげで、こういう生きかたができた。礼をいわねばならぬ」 「文こそ、父上に、その数十倍の礼を申さねばなりません」 「いや、そうではない。助けてくれた人に礼をいうより、助けてあげた人に礼をいうものだ。文どのにいいたかったのは、それよ」 「管仲」(文庫本全2巻) 管仲〈上〉...
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陽はまた昇る

陽はまた昇る [DVD] 佐藤正明 JVCエンタテインメント 2002-12-20 売り上げランキング : 34652 Amazonで詳しく見る by G-Tools ビジネスの話で、「デファクトスタンダード」がテーマにあがると必ずと言っていいほど例に挙がるVHSとベータの開発物語。 すごくいいですね、この映画。 どこまでが事実に基づいているのかわかりませんが、VHSが相当土壇場まで追い込まれていたとは知りませんでした。 この映画のハイライトは、何といっても西田敏行演じる事業部長の事業への情熱が、チームを一丸にし、本社経営陣を覚悟させ、さらには競合メーカーまで説得する、というストーリーなんだと思います。 僕も大きな組織に属すようになってわかりましたが、ものすごいエネルギーが必要ですよね、これ。 自分のやりたい方向性が組織の「空気」と反対を向いている時って、ほとんどの人に話が通じないし、説得できないし、動いてもらえない。 この映画の...
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写真展めぐり

連休中は6つの写真展と国際的な写真の見本市であるTokyo Photo 2011に行きました。 野口里佳「光は未来へ届く」(IZU PHOTO MUSEUM) 「小さな宇宙と大きな宇宙、微視と巨視を行き来する独自の視点で、野口里佳は不思議さに溢れたこの世界を写しとります」 なるほど彼女の写真は被写体との距離感が独特。 被写体に親しみを持っているわけでもなく、かといって距離をおいているような冷たさはなく、遠くから被写体が身を置く世界を温かく包むような写真。 光をすごく大切にしているんだと思いますが、光に全てを語らせるわけではない。 こういう写真を撮るのは難しいなぁ。。自分と世界との向き合い方だと思うんですよね、この撮りかたって。 「写真から表現意図が読み取れる写真」と「そうでない(読み取りづらい)写真」とに分類するとすると、野口里佳は後者だと思う。 ロバート・フランク「Flower Is」(Gallery Bauhaus) 「The...
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ご無沙汰しております

久しぶりに書こうと思うのですが。。何から書いたものかわからないですね。 今日のランチは広尾の「太桜」という中華料理を食べました。かつてこのあたりに住んでいた、妻のお父さんに連れて行ってもらったのがきっかけのこの店。古くからあるんだろうなーという店構えで、味もよく、広尾では考えられないお手頃な価格ということもあって、それ以降も妻と足を運んだり、一人で食べに行ったりしてます。毎回餃子タダ券くれるんですよね。もう最初から餃子セットなんじゃないかって気がしてきますが、タダ券あると行っちゃいますよね。同じように考える人が多いのか、店は食事時はもちろん、今日は夕方4時くらいに行ったのに全てのテーブルが埋まってました。4人組の学生さんがいて、彼らは餃子チケット持ってない様子。 「担々麺に餃子をつけたら1050円かぁ。。うーん。。」 次回からは餃子のこと気にせず注文できるよ。これで君も常...
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ブラックスワン

ブラック・スワン (ナタリー・ポートマン 主演) [DVD]()不明商品詳細を見る「1番になれる人」と「1番になれそうで2番に終わる人」の違いを2時間かけて教えてくれる映画。ほんのわずかに見えるその差は、決して、「運」などではない。ナタリー・ポートマン演じる主人公のニナは、純粋で繊細な白鳥を踊らせれば誰よりも素晴らしいが、官能的な黒鳥をうまく演じることができない。この時点の彼女は、「1番になれそうな人」。そして、1番になるための最後の難題は、彼女の生い立ちや育った環境に深く起因する弱点を克服すること。それもそのはず、「1番になれそうな人」まで登ってきている時点で、人一倍の努力はしているし、できることは大概やっている。自分が生涯つきあっていく弱点とどう戦い、乗り越えるか。「1番」はその先にあるようだ。努力、苦悩、失敗、そして周囲のサポートを受けて、彼女は最後の壁を乗り越える。狂気をまとってブラックスワンを演じるシーンは本当に圧巻。まばたきすらできな...
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Those precious motives, those strong knots of love

3月のことなので、もうだいぶ前の話になりますが、妻の妊娠が発覚しました。その後今日に至るまで、母子ともに順調に成長し、いま妊娠5ヶ月の半ばです。予定日は10月下旬。僕の体には何の変化もないので、正直まだ実感もほとんどないです。目に見えてわかるのは、妻の身体の変化と、やたら財布から出ていく検診費用くらい。ただ、生まれてくる彼または彼女が、これから自分がどんな人生を歩んでいくかを考えていくうえで、切っても切り離せない存在になる、ということはなんとなく実感としてあります。同じような感覚は結婚した時にも感じました。何もかも自分の好き勝手に生きてきたけど、これからは彼女の人生も考えながら生きていかなければならない。転職するにしても、住む場所を変えるにしても、もう一人で決めるわけではないのだ、という感覚。僕はこの感覚をとても気に入ってます。実際、この感覚は、独身の頃に思っていたような「自由を失う」という感覚ではなく、「人生をともに歩いてくれる人がいる」という感覚に近くて、大げさですが僕が生きている意味の1つになっているように思います。I...
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Takamatsu

出張で高松へ。仕事の合間に栗林公園という日本庭園に連れて行ってもらいましたが、ここは圧巻でした。栗林公園のウェブサイトによると、2009年のミシュランガイドで、「わざわざ訪れる価値のある場所」として最高評価の3つ星に選定されたそうですが、いやほんとに。園内で盆栽の展示即売会をやっていたんですが、見事な盆栽が東京では考えられないくらい安くて、思わず買いそうになるのをぐっと我慢しましたが、東京に戻って妻に話すと「買ってくればよかったのに」とのこと。次回出張の時期にもやってればいいんだけど。それにしても、讃岐うどんはおいしいし、栗林公園に限らず古き良き日本的な風景が多くて写欲をそそるし、次回はゆっくり滞在したいもの...
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梅の公園

青梅市にある梅の公園に行ってきま...
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31

衝撃的なガンジー事件にまさかの先を越されてしまいましたが、2月15日は31歳の誕生日でした。もともとは海外出張の予定だったのですが、出張が4月に延期になったので、妻が当日お祝いをしてくれました。平日の夜待ち合わせをして、イタリアンで食事をして、家に帰って手づくりのケーキを頂いて…前職の頃は考えられないような時間の使い方です。イタリアンは絶品でした。特にトリュフのグラタン。写真は誕生日プレゼントにもらった靴とベルトです。自分ではまず選ばないであろう上品でありながら可愛げのあるライトグレーのドット柄デザイン。実はこの靴とベルトは全く別のブランドのもので、同じデザインのものを探してコーディネートしてくれたのです。ありがとうね。大事に使わせてもらいます。誕生日はたくさんの人にメールを頂きました。ありがとうございました。人生中盤戦の30代2年目です。少しずつ自分の人生像を形にしていきたいと思います。あとは、体を引き締めない...
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ガンジー

今日、仕事から帰ってきた時の話です。 もともとは千葉でアポイントがあり、帰りは遅くなるはずだったのですが、急遽予定が変更になり、思いがけず家に帰り着きました。 妻はまだ仕事から帰ってきてませんでした。 我が家は、家に早く帰ってきたほうが、郵便ポストを確認します。今日は僕でした。 ポストの中には、「大富豪がこのあたりのマンションを欲しがってます。マンションを売ってください」みたいな胡散臭いチラシ、ピザのデリバリーのチラシ、整体やりますというチラシなどがありました。 ここまではいつも通りです。 チラシ類をゴミ箱に捨て、ポストを確認すると、1通の封筒がありました。 宛先は僕、発送元はHMVです。 HMVで物を買った覚えは全くありません。 妻が買ったのかな。。と思ったりもしましたが、宛先は僕なので、思い切って封を開けてみました。 すると、中には、、 ガンジーです。 ガンジーのDVDが1枚と、納品書です。 僕は、一瞬何が起きてるのかよくわからなくなりました。 だってガンジーですよ。 妻はガンジーを観たかったのでしょうか。 彼女と知り合って5年、結婚してもうすぐ丸3年になりますが、そんなことは一度も言ってませんでした。 何か思いつめてるのでしょうか。 いや、そもそもこれは本当に妻が買ったのか。 僕は納品書を隅から隅まで読みました。 そこには、次のような記載がありました。 「ご注文番号」2015xxxx 「ご注文日」2011/02/14 「ご注文数」1 「配送枚数」1 「出荷日」...
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