The Innovator's DNA II


立て続けに料理人の話。
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、ミシュラン3つ星の日本料理店「龍吟」の山本征治氏の特集を見る。
日本料理の名店「青柳」で修行し、現在は「龍吟」で革新的な日本料理に挑戦し続けている山本氏。
彼が「一流の日本料理シェフ」でなく、「革新的な一流の日本料理シェフ」を目指すに至るまでの経緯がすごい。

彼は、初めて招待され参加したスペインでの一流シェフのコンペティションで、彼のオリジナルではないが、日本料理ならではのアイディアを紹介した。
すると、オーディエンスからは次のような反応が返ってきたという。

「これはあなたのオリジナルではないのか。では、あなたではなくてもよかった」

一方で、他のシェフの発表を見ると、全く独創的で、これまでに見たことのないような調理法の提案が次々と出されている。
その経験を契機に、以降、彼は「伝統」の偉大さを認めつつも、それに並ぶものを革新することに熱意を注ぎ続け、ついにはミシュラン3つ星に輝くまでに至っている。
その道程は誰かが通った道でもなく、また決して平坦でもなかった。
その苦悩とそこから考えぬいた過程、それを乗り越えてきた誇りが、彼の言葉の1つ1つに宿っていて、発せられる言葉の1つ1つが本質的で、言葉に力があり、ものすごく含蓄がある。

「王道の創り方って、廃れることなく今に至ってもなお王道っていうことは、やっぱりそれだけでものすごいことなんですよ。その後のいくつもの試行錯誤を経てもやっぱりこれがベストだって認められているわけですから。でも僕は、このオリジナルを作った人が、今の世にいたら同じことをするだろうか、と問いたい」


「料理っていうのは精神なんです。例えば、ここにきゅうりがあって、これを半分に折って、そのまま出したとします。これは既に料理です。もちろん、何も考えずに半分に折っただけではだめですよ。ただ、『きゅうりというのは、何も手を加えずに、半分に折ってそのまま食べるのが一番美味しい』という思いがあって、それを伝えたくてお客さんにそうやって出したとしたら、これはもう料理です。この2つの違いは何か。それは精神だと思うんです。」

そのプロフェッショナリズムに感嘆。この回は保存版にしました。
ぜひ食べに行ってみたいと思います。高そうだけどね。

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