最近読んだ本(8−9月)

引き続き。 今度は8-9月に読んだ本(の中でおもしろかったもの)を備忘録的に。 大前研一「企業参謀」 企業参謀 (講談社文庫) 大前 研一 講談社 1985-10-08 売り上げランキング : 561 Amazonで詳しく見る by G-Tools 稀代のコンサルタントによる古典的名著。 氏はこの本を32歳の時に書いたという。うーん、敵わん。もっと考えなければ。 石井光太「絶対貧困」 絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫) 石井 光太 新潮社 2011-06-26 売り上げランキング : 2886 Amazonで詳しく見る by G-Tools ずいぶん前から書棚にあった本。「情熱大陸」に著者が特集しているのを見て、思い出したように読書。 おもしろい。現地現物がいかに文章に説得力を与えるかがよく分かる。 もっと早く読めばよかった。ということで、さっそく著者の別の著書「物乞う仏陀」を購入。 リンダ・グラットン「WORK...
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最近読んだ本(6−7月)

6-7月に読んだ本(の中でおもしろかったもの)を備忘録的に。 堺屋太一「歴史の使い方」「東大講義録 文明を解くI」「東大講義録 文明を解くII」 歴史の使い方 (日経ビジネス人文庫 グリーン さ 3-6) 堺屋 太一 日本経済新聞出版社 2010-01-06 売り上げランキング : 150825 Amazonで詳しく見る by G-Tools 東大講義録 文明を解く I (日経ビジネス人文庫) 堺屋 太一 日本経済新聞出版社 2010-11-02 売り上げランキング : 146788 Amazonで詳しく見る by G-Tools 東大講義録 文明を解くII―知価社会の構造分析 (日経ビジネス人文庫) 堺屋 太一 日本経済新聞出版社 2010-12-02 売り上げランキング : 212423 Amazonで詳しく見る by G-Tools 敬愛する堺屋太一による歴史講義。 根底に流れている思想はどの本も同じだけど、だからといって一冊読めばよい、というわけではない。 どの本をとっても毎回新しい発見がある。付箋が足りないくらいたくさんある。 しかも、これを入り口に、もっと多くの歴史本を読もうという気にさせられる。終わりなき歴史への旅への先導者的存在。再読間違いなし。 ランドール・ササキ「沈没船が教える世界史」 沈没船が教える世界史...
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glee!!

毎晩のように楽しんでいたglee。 オハイオにあるマッキンリー高校のグリークラブ(合唱部)を舞台にしたミュージカル仕立てのドラマで、圧倒的な歌唱力が魅力。 一方で、いじめや人種差別、同性愛、宗教など、アメリカが抱える社会問題をちらほらと垣間見せる社会派な一面もあり、ストーリーも奥深い。 シーズン1、シーズン2と一気に観ました。 最近は通勤中の音楽ももっぱらgleeのサントラ。ということで、シーズン1、2の中での個人的トップ10を選んでみました。 最初はトップ5くらいにしようと思ったけど、絞りきれなかった。。それくらい名曲ぞろいです。 10. I Want to Hold Your Hand シーズン2第3話。 カートの父親が倒れ、メンバーが心配しながら神に祈るなか、無神教のカートが父への想いをのせた曲。 オリジナルはビートルズ。カートの声が切ない。ちょっと泣きそうになった。 9. True Colors シーズン1第11話。 シンディ・ローパーの名曲をティナがリードボーカルで歌い上げる。 3位に挙げたJust...
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90ミニッツ

WOWOWの舞台モノ鑑賞第二弾。三谷幸喜演出による「90ミニッツ」。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 病院の一室、整形外科副部長の医師(西村雅彦)のもとに、ひとりの男(近藤芳正)が案内されてくる。9歳の少年が交通事故で担ぎこまれて手術を必要としており、男はその父親だった。手術には承諾書へのサインが必要だが、父親はそのサインを拒否。90分以内に手術をすれば助かるという状況。頑なに手術承諾書へのサインを拒否する父親と、まずは命を守るべきだと手術をするよう説得をする医師…。それぞれが自分の“正しさ”をぶつけ、本性をさらけ出し、打開策を見出そうとする中、少年の容態は徐々に悪化。緊迫の度は刻一刻と深まっていく。 (WOWO...
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その妹

市川亀治郎×蒼井優の舞台「その妹」をWOWOWで鑑賞。原作は武者小路実篤。 ----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------- 明治時代末期。画家として将来を嘱望されていながら、戦争で視力を失った野村(市川亀治郎)は、美しい妹の静子(蒼井優)とともに叔父夫婦の家に身を寄せていた。絶望となんとか折り合いをつけながら作家になる道を探る野村を、静子は筆記を手伝いながら献身的に支えて暮らす。そんな中、静子は叔父夫妻から意に沿わぬ縁談を迫られ、兄妹は苦境に陥る。状況を知った野村の友人で編集者の西島(段田安則)は、野村と静子を支援することを決意。叔父夫妻のもとを離れた2人の生活費を、身を削って工面する。西島が友情を越えた感情を持ちつつあるこ...
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The Innovator's DNA III

引き続きテレビ番組。最近イノベーションが頭にひっかかってて、何見ても同じこと考えてしまうんですが。。 ノンフィクションWでニコラ・フォルミケッティの特集を見る。こちらは料理ではなくファッション。 レディー・ガガのファッションディレクターとして知られるニコラ・フォルミケッティ、34歳。 イタリア人の父と日本人の母の間に生まれた彼は、現在NY、ロンドン、パリ、東京を股に掛けて活躍し、老舗ブランドから「ユニクロ」まで、幅広く手がけるファッションディレクターだ。 先鋭的なガガの衣装、誰もが着たいと思うユニクロの服、雑誌の表紙を飾るハイファッション…。 そのボーダレスな創作活動の源にあるのは、ファッションを専門的に学んだ経歴がなく、自己流の現場主義ですべてをつくり上げてきたこと。そして、12歳まで日本で育った彼ならではの「イーストミーツウェスト」のセンスだ。“時代の寵児”と言われる彼の活動を通して、“ボーダレスであること...
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The Innovator's DNA II

立て続けに料理人の話。 NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、ミシュラン3つ星の日本料理店「龍吟」の山本征治氏の特集を見る。 日本料理の名店「青柳」で修行し、現在は「龍吟」で革新的な日本料理に挑戦し続けている山本氏。 彼が「一流の日本料理シェフ」でなく、「革新的な一流の日本料理シェフ」を目指すに至るまでの経緯がすごい。 彼は、初めて招待され参加したスペインでの一流シェフのコンペティションで、彼のオリジナルではないが、日本料理ならではのアイディアを紹介した。 すると、オーディエンスからは次のような反応が返ってきたという。 「これはあなたのオリジナルではないのか。では、あなたではなくてもよかった」 一方で、他のシェフの発表を見ると、全く独創的で、これまでに見たことのないような調理法の提案が次々と出されている。 その経験を契機に、以降、彼は「伝統」の偉大さを認めつつも、それに並ぶものを革新することに熱意を注ぎ続け、ついにはミシュラン3...
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The innovator's DNA

テレビ東京「ソロモン流」でパティシエ辻口博啓氏の特集を見た。 史上最年少(23歳)で「全国洋菓子技術コンクール」に優勝するなど、数々のコンクールでの受賞歴をひっさげて、1998年に独立。自由が丘のモンサンクレールを筆頭に、feve、Le Chocolat de Hなど、複数のブランドを展開、名実ともに日本を代表するパティシエである辻口氏。 ショートケーキ、超うまそう。飴細工もおしゃれ。 感銘を受けたのは以下の会話。 (自らの看板商品のレシピを本にしたり、スクールで教えたりして公開していることについて) ナレーター:「看板商品のレシピは企業秘密として秘蔵にしておく、というのが一般的のような気がしますが、辻口さんはなぜ公開しようと思ったのですか」 辻口氏:「う〜ん、やっぱりレシピってのはどんどん公開していかないと新しいレシピも生まれてこないしね」 進化し続けるしくみってそういうことなのか、と納得。 過去や現在を守ろうとすればするほど、未来へ...
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デザインの話

2月20日に放送された「プロフェッショナル仕事の流儀:デザイナー梅原真」をようやく観ました。 土佐かつおの藁焼き、壱岐で作られているこのわたなど、農林漁業×地方をテーマの商品に関して、デザインを武器にヒットを生み出す、という。 土佐かつおの藁焼きなんて、今では20億円も売れているそうだ。こうして日本の原風景を未来に残したい、というのが梅原さんの情熱らしい。 番組の後半で、高知県で、人間が食べてもおいしいような食材で鶏を育て、その鶏が生んだ卵を売る人から相談を受ける。 栄養価の高いものを食べている鶏から生まれた卵なので、味は抜群。ただし、値段は1つ100円以上するそうだ。ほとんど売れてなくて、貯金を食いつぶしているという。 僕は仕事柄、もし自分がこういう相談を受けたら、「高価な卵を買う人はどういう人で、どこに住んでいて、どこで買い物をするから、そういうところに流通できるような戦略を考えましょう、ブランド力をあげるためにも何か工夫をしましょ...
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ヤコブへの手紙

70年代のフィンランドの片田舎を舞台に、刑務所から出てきたレイラと、人々からの手紙を待ち続ける盲目の老牧師ヤコブ、手紙を届ける郵便配達人の3人が紡ぐ、手紙を巡る物語。 ヤコブは届けられる手紙に書かれた相談に真摯に向き合い、差出人に髪の加護があるように祈ることが自分が生を受けた使命だと信じ、目が見えなくなってもレイラに手紙を読んでもらい、返信を書いてもらいながら使命を果たそうとする。 一方のレイラは、過去に犯した犯罪のために自らが生きる意味を失ってしまった。彼女には、盲目になりながらも誰の役に立っているかもわからないような日々を送っているヤコブが理解できないし、嫌悪感すら感じてしまう。 レイラはヤコブに必要とされることで、徐々に自分が誰かの役に立っていることを実感していく。 僕らは人に頼る時、相手に迷惑ではないかと考え、できるだけ自分でやることが相手にとってもいいことだと考えてしまいがちである。 しかし、人に必要とされることを通してしか、人は自分が生きている意味を実感できない。 人に頼りにしながら生きることが、周りの人を生かすことに繋がる。 そんなことを考えながら、ゆったりと流れる時間を旅した火曜日の夜でした。 ヤコブへの手紙...
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Just enjoy the show

出張でバーゼルにいます。 歴史的な寒波が襲っている欧州。バーゼル到着時の気温はマイナス14度。 防寒着が足りません。 行きの機内で映画「マネーボール」を観ました。 既成概念と特殊性で変化が難しい業界で、常識を打ち破る理論で弱小チームを優勝争いできるチームに変えていく。ほとんどマンガのようなストーリーの実話。 相変わらずブラピは何を観てもはずさないし、とにかくかっこいい。 しかし、これが実話ってすごい。 どの組織も変化を嫌うし、新しい概念はその宿命として荒唐無稽、机上の空論と謗られるところから始め、とにかく少しずつでも結果を出して、まわりを説得しなければならない。 僕は、その孤独に耐えながら信念を貫くことの難しさを痛感し、イノベーションはオーナー企業か破綻寸前の企業でないとおこせないんじゃないかとまで感じている僕にとっては、勇気の出る映画だったし、自らの力不足を再認識させられる映画でもありました。 だいたい僕は人を説得するのを面倒がりすぎ。 なので、映画のストーリー自体も非常に刺激になったのですが、この映画で一番胸に響いたのは、孤独と戦うビリー・ビーンと、その娘のやりとりです。 自分を見失いそうになりながらも目標にむかって必死に戦う父に対し、娘は一曲の歌をプレゼント。 心に染みいるような歌詞と、子どもらしい愛らしい歌声。 僕自身に子どもができたことが大きく影響しているんでしょうが、わが子にこんな歌を歌われるとたまらんでしょうね。。 いまの自分の境遇というか性格というか、いろいろ思うところもあって、何度も同じシーンを繰り返し観てました。 iTunesでサントラ買お。 I...
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Doubt can be a bond as powerful and sustaining as certainty

新年初投稿にして既に1月末ですが。。。今年もよろしくお願いします。 年始に「ダウト/あるカトリック学校で」という映画を観ました。 ダウト/あるカトリック学校で [DVD] ワーナー・ホーム・ビデオ 2012-02-08 売り上げランキング : 16409 Amazonで詳しく見る by G-Tools それほど期待せず、なんとなくWOWOWで録画していた映画だったので、妻には「そんなにおもしろくないかもしれないから、一人で観るよ」と話してたくらいなのですが、これがとんでもなく素晴らしい映画でした。 1960年代のカトリック系学校が舞台。 校長であるシスター・アロイシス(メリル・ストリープ)は、人望のあるフリン神父(フィリップ・シーモア・ホフマン)が教え子である一人の黒人少年と性的な関係にあるとの「疑念」を抱き、神父を執拗に追い詰めていく、というストーリー。 何がとんでもなく素晴らしいと感じたかと言えば、この映画、始まりから最後まで「無駄なセリフが一つもない」のです。 全ての登場人物から発せられる全ての言葉が、含蓄に富み、深く考えさせられ、脳を刺激されるものばかり。 そこで語られる内容も、自らの信念を貫くことの孤独と恐怖、人間の持つ先入観と偏見、理想あるいは正義と現実との折り合い、本当の意味で社会的弱者を助けるには…などなど、生きている限り誰もが自問自答せざるを得ない命題ばかり。 そして、これほど難解で濃い内容でありながら、視聴者に退屈させないメリル・ストリープとフィリップ・シーモア・ホフマンの鬼気迫る演技。 観終わった時には、これほど密度の濃い2時間が他にあっただろうか、とひどく感動し、新年一発目でこれほどいい映画に出会えた偶然を本当に嬉しく思いました。 まだ観てない方にはぜひおすすめしたい作品です。 What...
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