デザインの話


2月20日に放送された「プロフェッショナル仕事の流儀:デザイナー梅原真」をようやく観ました。
土佐かつおの藁焼き、壱岐で作られているこのわたなど、農林漁業×地方をテーマの商品に関して、デザインを武器にヒットを生み出す、という。
土佐かつおの藁焼きなんて、今では20億円も売れているそうだ。こうして日本の原風景を未来に残したい、というのが梅原さんの情熱らしい。

番組の後半で、高知県で、人間が食べてもおいしいような食材で鶏を育て、その鶏が生んだ卵を売る人から相談を受ける。
栄養価の高いものを食べている鶏から生まれた卵なので、味は抜群。ただし、値段は1つ100円以上するそうだ。ほとんど売れてなくて、貯金を食いつぶしているという。

僕は仕事柄、もし自分がこういう相談を受けたら、「高価な卵を買う人はどういう人で、どこに住んでいて、どこで買い物をするから、そういうところに流通できるような戦略を考えましょう、ブランド力をあげるためにも何か工夫をしましょう」といったふうに、ターゲット顧客だの流通戦略だのブランド戦略だの、いろんな切り口でなんとか活路を見出そうとすると思います。
梅原さんをすごいなぁと思うのは、彼は「デザイン」という1点でそれを実現しようとしていること。そして実際に実現していること。

マーケティングの仕事を2年ほど集中的にやって、結局思うのは、マーケティングというのは、1人1人の消費者が商品を買う理由を作ることなんだな、ということです。
例えば、「消費者がシャンプーを買う時の選択基準は大きく3つあって、まず商品の品質、次に価格、最後にブランドが重要です」みたいな分析を見るんですが、仮にこれが真実だとしたら、どの会社もこの3つに関しては必死に注力するので、結局商品ごとの差はなくなって、こと成熟した市場では、選ぶ基準TOP3では「どれ買っても一緒」に見えちゃうんですよね。
もちろん、そういう意味で、圧倒的に価格が安いというのはそれだけで「買う理由」になるので、安売りっていうのはわかりやすいぶん安易に選択肢がちな戦略なんですが、これをみんなでやってしまうとどんどん価格が下がって、業界全体が疲弊、みたいなことになる。
なので、店頭で消費者が目にした瞬間に、どうやって「安い」以外の理由でで自分のところの買う理由を連想さられるか、それは購買決定の時に重視する項目じゃなくて、それ以外の項目に潜んでいるんだなぁ、と思います。
そういう意味で、デザインの力はすごいなぁと感じます。感性の部分って、共感する人には抜群に響くし、他社が真似しづらい要素ですからね。

と、全くまとまりのない乱文になりましたが、自分の備忘録なのでよしとさせてください。
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ヤコブへの手紙


70年代のフィンランドの片田舎を舞台に、刑務所から出てきたレイラと、人々からの手紙を待ち続ける盲目の老牧師ヤコブ、手紙を届ける郵便配達人の3人が紡ぐ、手紙を巡る物語。

ヤコブは届けられる手紙に書かれた相談に真摯に向き合い、差出人に髪の加護があるように祈ることが自分が生を受けた使命だと信じ、目が見えなくなってもレイラに手紙を読んでもらい、返信を書いてもらいながら使命を果たそうとする。
一方のレイラは、過去に犯した犯罪のために自らが生きる意味を失ってしまった。彼女には、盲目になりながらも誰の役に立っているかもわからないような日々を送っているヤコブが理解できないし、嫌悪感すら感じてしまう。
レイラはヤコブに必要とされることで、徐々に自分が誰かの役に立っていることを実感していく。

僕らは人に頼る時、相手に迷惑ではないかと考え、できるだけ自分でやることが相手にとってもいいことだと考えてしまいがちである。
しかし、人に必要とされることを通してしか、人は自分が生きている意味を実感できない。
人に頼りにしながら生きることが、周りの人を生かすことに繋がる。
そんなことを考えながら、ゆったりと流れる時間を旅した火曜日の夜でした。

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