The Innovator's DNA III

引き続きテレビ番組。最近イノベーションが頭にひっかかってて、何見ても同じこと考えてしまうんですが。。
ノンフィクションWでニコラ・フォルミケッティの特集を見る。こちらは料理ではなくファッション。
レディー・ガガのファッションディレクターとして知られるニコラ・フォルミケッティ、34歳。
イタリア人の父と日本人の母の間に生まれた彼は、現在NY、ロンドン、パリ、東京を股に掛けて活躍し、老舗ブランドから「ユニクロ」まで、幅広く手がけるファッションディレクターだ。
先鋭的なガガの衣装、誰もが着たいと思うユニクロの服、雑誌の表紙を飾るハイファッション…。
そのボーダレスな創作活動の源にあるのは、ファッションを専門的に学んだ経歴がなく、自己流の現場主義ですべてをつくり上げてきたこと。そして、12歳まで日本で育った彼ならではの「イーストミーツウェスト」のセンスだ。
“時代の寵児”と言われる彼の活動を通して、“ボーダレスであること”の意味を探る。
(以上番組紹介より)

レディー・ガガ、ユニクロ、フランスの老舗ブランド「ミュグレー」の再生、ヴォーグオムジャパンのビジュアルディレクター、そして生誕地である沼津での婚礼レストランまで、複数の案件を同時進行で抱えるニコラ。
頭の切替が大変そうに思ってしまうものだが、逆に全く毛色の違うテーマに取り組むことでクリエイティブなアイディアが浮かぶそうだ。
今抱えている仕事や気になっているトレンドなんかの写真を壁一面にグループごとに貼って、それを眺めながら異なるテーマ同士の組み合わせからアイディアを発想するやりかたはおもしろいなと思った。
やっぱり視覚的にとらえていくのは大事だなと。
もう1つ。ヴォーグオムジャパンの編集シーンでの一コマ。
「ニコラは、『雑誌を作っている』という感覚じゃないんだと思うんです。常に雑誌を通してファッションの未来を考えているというか。彼からのインプットは、視座が一段も二段も違う」
目の前のイシューに埋没せずに、どうやって未来志向であり続けるか。常に先を読む力を無意識のレベルまで昇華するには何が必要なのか。
それにしても、彼は小学校までは日本(沼津)、中学でロンドン、高校はローマだそうだ。
日本人であるというアイデンティティをしっかりと育くんだうえで、国際人への階段を用意する。
子育てはまさに一大プロジェクトだなぁ。
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The Innovator's DNA II


立て続けに料理人の話。
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で、ミシュラン3つ星の日本料理店「龍吟」の山本征治氏の特集を見る。
日本料理の名店「青柳」で修行し、現在は「龍吟」で革新的な日本料理に挑戦し続けている山本氏。
彼が「一流の日本料理シェフ」でなく、「革新的な一流の日本料理シェフ」を目指すに至るまでの経緯がすごい。

彼は、初めて招待され参加したスペインでの一流シェフのコンペティションで、彼のオリジナルではないが、日本料理ならではのアイディアを紹介した。
すると、オーディエンスからは次のような反応が返ってきたという。

「これはあなたのオリジナルではないのか。では、あなたではなくてもよかった」

一方で、他のシェフの発表を見ると、全く独創的で、これまでに見たことのないような調理法の提案が次々と出されている。
その経験を契機に、以降、彼は「伝統」の偉大さを認めつつも、それに並ぶものを革新することに熱意を注ぎ続け、ついにはミシュラン3つ星に輝くまでに至っている。
その道程は誰かが通った道でもなく、また決して平坦でもなかった。
その苦悩とそこから考えぬいた過程、それを乗り越えてきた誇りが、彼の言葉の1つ1つに宿っていて、発せられる言葉の1つ1つが本質的で、言葉に力があり、ものすごく含蓄がある。

「王道の創り方って、廃れることなく今に至ってもなお王道っていうことは、やっぱりそれだけでものすごいことなんですよ。その後のいくつもの試行錯誤を経てもやっぱりこれがベストだって認められているわけですから。でも僕は、このオリジナルを作った人が、今の世にいたら同じことをするだろうか、と問いたい」


「料理っていうのは精神なんです。例えば、ここにきゅうりがあって、これを半分に折って、そのまま出したとします。これは既に料理です。もちろん、何も考えずに半分に折っただけではだめですよ。ただ、『きゅうりというのは、何も手を加えずに、半分に折ってそのまま食べるのが一番美味しい』という思いがあって、それを伝えたくてお客さんにそうやって出したとしたら、これはもう料理です。この2つの違いは何か。それは精神だと思うんです。」

そのプロフェッショナリズムに感嘆。この回は保存版にしました。
ぜひ食べに行ってみたいと思います。高そうだけどね。
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The innovator's DNA


テレビ東京「ソロモン流」でパティシエ辻口博啓氏の特集を見た。
史上最年少(23歳)で「全国洋菓子技術コンクール」に優勝するなど、数々のコンクールでの受賞歴をひっさげて、1998年に独立。自由が丘のモンサンクレールを筆頭に、feve、Le Chocolat de Hなど、複数のブランドを展開、名実ともに日本を代表するパティシエである辻口氏。
ショートケーキ、超うまそう。飴細工もおしゃれ。

感銘を受けたのは以下の会話。
(自らの看板商品のレシピを本にしたり、スクールで教えたりして公開していることについて)
ナレーター:「看板商品のレシピは企業秘密として秘蔵にしておく、というのが一般的のような気がしますが、辻口さんはなぜ公開しようと思ったのですか」
辻口氏:「う〜ん、やっぱりレシピってのはどんどん公開していかないと新しいレシピも生まれてこないしね」

進化し続けるしくみってそういうことなのか、と納得。
過去や現在を守ろうとすればするほど、未来へのイノベーションは難しくなる、ということ。
現在が成功していれば成功しているほど、「成功の復讐」もまた大きくなる。
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