Not Really 'Made in China'

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必読記事です。

Not Really 'Made in China' - The iPhone's Complex Supply Chain Highlights Problems With Trade Statistics

上記はWall Street Journalが書いたiphoneについての記事です。以下、非常にざっくりと要約します。

iphoneは米国で設計され、日本や韓国、ドイツの部品を買って、中国で組み立てられて、出荷されています。
一般的には、iphoneが売れることは、米国に利益をもたらし、生産国である中国に利益をもたらす一方で、日本では日系携帯電話メーカーの売上減少に繋がるなど、マイナスのインパクトとして取り上げられがちです。
しかし記事では、iphoneの生産における付加価値を分解すると、日本34%、ドイツ17% 、韓国13%、米国6%、中国3.6%となっており、iphoneが世界中で売れれば売れるほど日本が(部品供給を通じて)最も儲かっていることを指摘しています。

以前このブログでも書いたことがあると思いますが、僕は日本の製造業の生き残りモデルはまさにこういうことだと思ってます。
付加価値を持つ製造業はたくさんあるので、最終製品にこだわらず、日本に求められる付加価値に専念するべきだと思うのです。

��なお、記事自体の主旨は、貿易統計がこうしたサプライチェーンを把握してないため、中国に対して過剰に貿易慣行の是正を求めるのは間違いとしたものです。)

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蒼井優

最近邦画をよく観るようになりました。

ひとむかしは、邦画を観る人というのはごく一部で、5年くらい前までは僕もほとんど観たことがなかったのですが、今では映画の興行収入ランキングでも邦画のほうが多くトップテンにランクインしていたりしますよね。
5年くらい前といえば、韓国映画がヒットしていた頃で、「韓国は自国の映画が人気なのに、日本はハリウッドが人気で、邦画はなにやってんだ」みたいな論調がメディアで喧伝されていたのを覚えてます。
その後の邦画の躍進は、同じ日本人として嬉しい限りです。

前置きが長くなりましたが、実は僕、「蒼井優」という才能にベタ惚れなのです。

はじめて観た彼女の映画は、フラガールでした。フラガール自体非常に評価された映画でしたが、これを観た当時の蒼井優の印象は、日本的な女性の美しさ、(悪い意味でなく)田舎の素朴さを持ち合わせている女優だな、というくらいでした。

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次に観たのは「花とアリス」という作品。ドイツに住んでた頃に向こうで観ました。
この作品での蒼井優は、やはり自然体の演技が魅力で、オーディションか何かで踊っているシーンが映像として本当に美しくて、今でも目を瞑れば思い浮かぶくらいですが、全体としては「フラガール」と同じような印象でした。

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僕が蒼井優の女優としての力量に感動したのは、つい最近観た「変身」という映画。
原作は東野圭吾の小説ですが、映画としては正直ひどいデキだと思います。
が、そんなどうしようもない映画でも、蒼井優の演技だけは異次元。
結構つらい役なのですが、彼女の演技は圧倒的にリアリティがあって、そこだけ感情移入できる。
ストーリーがつまらなくても、個人の演技力だけで観客の感情に入り込んでいく、そんな芸当ができる俳優がいることに僕は驚き、そして感動しました。

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そんな彼女の演技をもっと観てみたいと思って先週借りたのが「ハチミツとクローバー」。
僕は原作のコミックを読んだことがないので、コミックの人物を再現できているかはわかりませんが、原作を読んだことがある妻は「実際いたらこんな子だと思う」と言ってたので、原作の世界観を演じきってるのでしょう。
創作に入るときの顔つきや筆使い、全体で醸しだされる雰囲気は、天才芸術家という役割を見事に演じていたと思います。

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というわけで蒼井優という日本が誇るべき才能を応援してます。
最近やってた「雷桜」は映画館では見逃してしまいましたが、DVDになったらぜひ観たいと思います。

ちなみに、上の4作品を映画としておすすめするなら、「花とアリス」「フラガール」「ハチミツとクローバー」「変身」の順ですかね。。

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飛び続けることから始めよう

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昨日、日本航空の更正計画が東京地裁に認可されたとの発表がありました。

エアラインビジネスというのは、そもそも極めてボラティリティの高い、すなわち、安定的に利益を出すことが難しいビジネスです。
それは、テロや感染症、リーマンショックのような、一企業ではコントロールできない事件によって旅客数が減少し、売上が減ってしまうことも一因ですが、僕自身は、むしろ、エアラインビジネスというものが、そういったトップラインのリスクに対して柔軟に対応できるコスト構造を「極めて作りづらい」ビジネスモデルだからだと考えてます。
具体的には以下の3点です。

①稼働率ビジネス
まず、当たり前ですが、エアラインは、ホテルや鉄道などと同様、稼働率ビジネスです。
お客さんの増減に関わらず飛ばないといけないし、飛ぶとなれば機材費や燃料費、パイロットやCAの人件費など、ケータリングを除けばほとんどの費用が固定費で、客数に応じて減らすことができません。
固定費比率が高いので、当然ボラティリティは高くなります。

②コストの半分が燃油
エアラインの損益計算書を見ればわかるとおり、どのエアラインもコストのほぼ半分は燃油費です。
半分が燃油費であるということは、①で述べた固定費が大きいということだけではありません。
燃油は、商品相場の中でも(政治的要素を含め)極めて上下変動の大きい商品です。2002年頃は1バレル30米ドル程度のものが、2008年には200米ドルまで上昇し、金融危機後には1バレル40米ドル程度まで下がり、また上昇、というめまぐるしい動きをしています。
すなわち、コストの半分が、いきなり数倍に膨れ上がったりするリスクを抱えているということです。

また、①で述べたフライト連動の固定費の中でも、燃油はひときわ異なる性格を持っています。
それは、人や機材と違い、燃油は「距離」に連動するということです。
つまり、長距離を飛ばせば飛ばすほどリスクは高くなります。国際線、特に欧米向けの長距離国際線に路線をたくさん持つことは、それだけリスクが高いということです。

最新機材の導入や燃油価格のヘッジなど、燃油費に対する打ち手がないわけではないですが、上記のような性格から、そんな努力をも一気にふきとばすほどのリスクを同時に抱えているのです。

③インフラビジネス
上記①②に対して手を打てない最大の理由がこれ。
これはインフラ企業の宿命で、飛行機も、他の交通機関も、客が少ないから今回はやめます、というわけにはいかないということです。

以上のことから、僕は、エアラインというのは、ビジネスモデルの性格としてきわめて収益リスクが大きいビジネスだと思ってます。
当然ですが、上記の要素は決して日本航空に限った話ではなく、世界中でエアラインの経営危機はあまた起こっていて、アメリカではもはやビッグニュースにもならないような状況です。

僕は、今回の日本航空の再建は、親方日の丸体質、既得権益への甘え、高給と厚い福利厚生などといった、いわゆる経営体質の改善はもちろん必要だとは思いますが、そこだけにスポットライトをあててほしくない、それだけに終始してほしくないなと思ってます。
あたりまえの企業があたりまえにやっていることをやれるようにするのはもちろん大切ですが、僕は、日本航空は、それだけではなく、もっと崇高な使命のもとに集まる組織であってほしいと思ってます。

上述のとおり、エアラインというのは極めて舵取りが難しいビジネスです。
一方で、日本国内をつなぎ、日本と世界をつなぐインフラという、なくてはならないビジネスです。
ぜひ、「飛び続けること」を使命にしてもらいたい。
「飛び続ける」ためには、経営危機に陥ってはならないし、そのためには少しでもコストは下げないといけないし、もっと柔軟性のあるビジネスモデルを模索しないといけません。
日本航空が、人を減らす痛みを伴ってまで会社を変えようとしているのは、単に「利益を出す」ためではなく、「(利益を出すことで)飛び続ける」ため、日本と世界をつなぎつづけるためであり、そういう使命感を共有できる組織に生まれ変わることが、今回の再生の鍵なのだと思ってます。

言うまでもなく、それが日本航空の原点であり、アイデンティティでもあるからです。

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写真家たちの日本紀行

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BSジャパンで毎週土曜19:30-20:00に放送されている「写真家たちの日本紀行」という番組をご存知でしょうか。
http://www.bs-j.co.jp/shashinka/

プロの写真家の方が、日本を旅しながら「未来に残したい情景」をカメラにおさめる紀行番組なのですが、この番組、すばらしいです。
写真のクオリティが高いのはもちろんですが、何と言っても、プロの写真家が、普通の人が行くような普通の観光地で、どんなものに着目し、どんな形で情景を切り取るか、映像だとその思考プロセスがすごくわかりやすく伝わってきます。

先週の放送では、江口愼一氏が日光を訪れ、東照宮などの観光名所にも足を運んだわけですが、一般人が写真を撮るスポットとプロが写真を撮るスポットが明らかに違う。
画面の切り取り方、光の取り込み方、どこをどう歩いて、どこでカメラを構えるかを見るだけでもすごく勉強になります。

この番組、キヤノンがスポンサーなのですが、僕自身キヤノンのカメラを使っているので、使われている機材やレンズを知るのも勉強になります。
このカメラとこのレンズの組み合わせでこんな写真が撮れるとは、といった驚きが満載。
おかげで最近また写欲が湧いてきました。

何かすっかり番組の宣伝のようになってしまいましたが、最近欠かさず観てる(録画してる)番組の1つでした。
年末には特番もやるみたいで、今から楽しみです。
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