GO / Lost In Translation

LIT


日本にまつわる映画を2本観た。
1つは行定勲監督の「GO」、こちらは日本映画フェアをやっていた映画館で。
もう1つはソフィア・コッポラ監督の「Lost In Translation」、こちらは日本にいる頃に映画館で観たけど、再度DVDで。

ヨーロッパに来て日本映画を観るのは、日本で観るのとだいぶ趣が異なる。

「GO」はいい映画だったが、映画館では、我々からすれば笑うところでもなんでもない普通のシーンで、ドイツ人が大爆笑していることが多々あった。
途中から映画の内容より、ドイツ人の笑いのツボが気になり始める。
彼らからすれば、この映画の舞台自体が非日常のエンターテインメントなのだろう。
日本人には現実世界に模したフィクションでも、ドイツ人には(極端だが)パイレーツオブカリビアンと同じなのかもしれない。
日本人の俳優の演技自体も新鮮なようだ。とにかく一挙手一投足に笑う。
結局、我々が思っている以上に、ヨーロッパにとって、日本というのは遠い国なのだということをあらためて実感。

そして「Lost In Translation」。
日本で観たときの感想は、一言で言えば「外国人からは日本はこういうふうに見えるのか、あはは」という感じ。
「GO」を観ているドイツ人に近い。
しかし、今回は全く違った。
なんといっても、僕は「Lost In Translation」の世界を、今現実に味わっている。
全てが現実、全てが実感として、理解できる。共感できる。
レストランでメニューが全く読めなくて途方にくれる気持ちもわかるし、病院のシーンなんかも、僕が先日ベルリンで体験したのと全く同じだ。
そう思いながら観ていると、音楽や映像が、なんと心情をうまく表現していることか!とあらためて感動。

余談だけど、Lost In Translationを観て、日本に旅行したいという思いに駆られたヨーロッパ人は多いらしい。
やっぱり非日常感があるのだろう。
そして、友人のドイツ人が言うには、映画の舞台になった渋谷のカラオケ館(601号室!)に連れて行くと大喜びするらしい。
これから日本で外国人を接待するときはここに決まり。

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就職先人気企業ランキング

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産業という面では、日本とドイツは鏡の国だと思うことが多い。

どちらも製造業が中心で、最先端の技術力や製品品質の高さがウリ。
その分価格も高く、「安くてそれなり」の製品で世界を席巻する中国や台湾と一線を画している。
デザインは質実剛健を好み、色気があって官能的だけどすぐに壊れる(そこがまた色気と言い張る)イタリア製品とも毛色が違う。

日系メーカーが欧州でなかなか基盤を作れない最大の理由はそこで、欧州は同じようなスペックの製品を同じような価格で提供するドイツメーカーのホームグラウンドだからなのだ。
同様に、ドイツメーカーが世界で唯一と言っていいほど攻略できないのが日本。
まさに製造業にとっては鏡の国。
一方のサービス業は、世界最高のホスピタリティを誇る日本と、ホスピタリティを微塵も感じさせないドイツとで、180度違うのだけど。

そんなことを思ってると、つい最近「Manager」というドイツで著名なビジネス雑誌で、学生の就職先人気企業ランキングを発見。
TOP10は↓のとおり。

1. ポルシェ(自動車)
2. BMW(自動車)
3. アウディ(自動車)
4. プライスウォータークーパーズ(金融)
5. ルフトハンザドイツ航空(運輸)
6. アーンストヤング(金融)
7. KPMG(金融)
8. アディダス(消費財)
9. ドイチェバンク(金融)
10. ダイムラー(自動車)

見ての通り、自動車と金融が人気を二分している。
特にポルシェ、BMW、アウディ、ダイムラー(ベンツ)の高級車四天王は毎年人気ランキング上位の常連だとか。

一方で日本の就職先人気企業ランキング(リクルート発表)を見ると、

1. 全日本空輸(運輸)
2. 三菱東京UFJ銀行(金融)
3. みずほフィナンシャルグループ(金融)
4. 東海旅客鉄道(運輸)
5. 三井住友銀行(金融)
6. トヨタ自動車(自動車)
7. バンダイ(消費財)
8. ソニー(電機)
9. 東日本旅客鉄道(運輸)
9. 松下電器産業(電機)

なんと運輸と金融が大人気。
製造業は電機、自動車、消費財がぱらぱらとランクインしているけど、TOP5には1社も入っていない!
もちろんランキングは景気によって大きく変わるけど、このほかで日本で人気があるのは、商社とか広告代理店とか、製造業が上位独占!という話はあまり聞かない気がする。
強い製造業に支えられてきた日本とドイツだけど、日本での製造業の人気が低さには、将来の一抹の不安を感じてしまう。

まあ・・・ドイツも自動車だけなんだけどね。
しかも自動車も、プレミアムカーのイメージに引っ張られてる様子が強い(現にフォルクスワーゲンはランク外)。
結局学生はわかりやすいイメージの企業を選ぶ、というだけなのかもしれないけど、そうだとしても、優秀な学生がこぞって自動車に集まるドイツに、日本の自動車メーカーがどう対抗するのか。
特にレクサスには、日本代表としてがんばってもらいたい。

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Le Japon dans la lanterne magique 1897

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リヨンみやげのもう1冊は、この写真集。
「Le Japon dans la lanterne magique 1897」、直訳すると「1897年、不思議な提灯の中の日本」。

時は1897年。中国在住のフランス人Charles Vapereauは、母国への帰国を前に、アジアでの思い出に、妻と日本へ旅行する。

1897年=明治30年。
江戸幕府から明治政府に政治体制がうつり、文明開化が進む。
富国強兵を唱え、徐々に欧米列国との不平等条約に対する不満も高まり、1894年にはイギリスの治外法権を撤廃、日清戦争にも突入し、列強の仲間入りを目指していた最中である。

この写真集は、そんな時期の日本の記録。

赤羽
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江ノ島
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日光
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僕自身、この時代の写真を、白黒ではなく、カラーで見たのはたぶん初めてだし、いわゆる報道写真ではなく、日常生活のスナップショットを見たのも初めてだと思う。
そういう意味ですごく貴重な気がする。

自分の母国の過去の写真を、日本から10,000km離れたフランスで見つけたのも何かの縁を感じる。
おそらく、日本でこの本を見つけても、僕は手に取らなかっただろう。
あるはずのないヨーロッパの日常の中に、日本でも知り得なかった日本を見つけ出したということが、なんともおもしろい。

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MICHELIN Japon - Voyager Pratique

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リヨンでの収穫の1つがこれ。
レストランガイドで有名なミシュランによる日本の観光ガイド。

当然フランス語なので、書かれている内容はよくわからないのだが、レストランガイド同様、観光ガイドでは日本の観光地、観光施設をランク付けしている。
フランス人の目から見て、日本のどこが魅力的にうつるのかは興味深いし、日本に帰ったらこれを見ながら観光するのも楽しいだろうと思って購入。

栄えある三ツ星観光地は、↓の11つ。
なんと僕は全部行ったことがある。意外と国内旅行好きだったのか、ただのミーハーか。。

・知床国立公園
・松島
・日光
・東京
・上野
・高尾山
・富士山
・高山
・京都
・奈良
・姫路城

一方、観光施設の三ツ星はたくさんあって、とても書ききれないが、以前から行きたい行きたいと思っていたミホミュージアム(滋賀県)や、宮島&厳島神社が挙げられているほか、地元九州からも九州国立博物館(福岡)とひょうたん温泉(別府)が三ツ星を獲得。
九州国立博物館など、2-3年前に福岡に帰った折に、父親と入り口まで行っておきながら、「今日はつまんなさそうだ」と話し帰ってしまった。。
そして、ひょうたん温泉ってどこだ!?

なにしろ、これはこれで楽しい読み物。
個人的には、京都の源光庵に三ツ星をあげたいけどなぁ。。

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フロンティア、ナウ

フロンティア、ナウフロンティア、ナウ
(2008/11/29)
野崎 雅人

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「日経中編小説賞受賞」というバッジと、垣根涼介の小説を彷彿とさせるあらすじに期待して読んでみたものの、それが偏った期待になったせいなのか、いまひとつ入り込めなかった。

それにしても、タイとかベトナムとか、東南アジアの雰囲気というのはどの本でも似たような感じなのでだいぶ知った気になってるけど、実はリゾート以外は行ったことがない。
生活拠点が日本に戻ったら、なんとか時間をつくって、リゾートの誘惑に負けずに、ぜひ足を運んでみたい。

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チーム・バチスタの栄光

チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫)チーム・バチスタの栄光(上) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 599) (宝島社文庫)
(2007/11/10)
海堂 尊

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チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (宝島社文庫)チーム・バチスタの栄光(下) 「このミス」大賞シリーズ (宝島社文庫 600) (宝島社文庫)
(2007/11/10)
海堂 尊

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下巻がおもしろい。
おもしろいというのは、ミステリー、エンターテインメントとしてというより、問題解決(仮説思考)、交渉術、インタビュースキルといった、ビジネススキルのケーススタディとして。

特にパッシヴ・フェーズとアクティブ・フェーズという考え方は非常におもしろかったし、仮説思考を徹底することで問題の真因を探り当てる、というのもビジネスに通じるものがある。
上巻で、仮説を持たずに状況分析をして何もわかりませんでした、という展開になっているのも、個人的には納得感がある。

犯行手段、犯行動機などを含めストーリー自体は手練れのように感じられたけど、登場人物の言葉の中には、なかなか含蓄のあるものもあり。


��以下、備忘録)
「目的が不明確な批判は命取り」

「あなたの立場は理解できるし、同情もします。けれどもそれが、周りの認識とは違っている部分もある、ということは理解してほしいのです。そうした事実を踏まえた上で協力してください。私は、非科学的な当てずっぽうや、感情に委せた思い込みではなく、明確な原因を探り当てなければならないのです」

「ルールは破られるためにあるのです。そしてルールを破ることが許されるのは、未来に対して、よりよい状態をお返しできるという革新を、個人の責任で引き受ける時なのです」

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Lyon

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仕事でリヨンへ。

パリに続くフランス第2の都市にして、「星の王子様」の作者サン=テグジュペリの生まれ故郷。
ミシュラン3ツ星を40年以上維持しているPaul Bocuseをはじめ、味で勝負するレストランが数多くひしめくヨーロッパ屈指の美食の街。
ローマ時代の遺跡が残る旧市街は世界遺産に指定されている。
仕事なので、観光する時間はほとんどなかったけど…食事はたしかにおいしかった。

フランスの都市は、パリ、モン=サンミッシェルに続いてリヨンが3都市目だが、今回驚いたのは日本文化の浸透度。

まずは、書籍。
何軒か書店に立ち寄ったけど、日本について、日本文化について書かれた本が数多く棚に並んでいる。
そしてなによりすごいのは、マンガの充実度。
そもそも「Manga」というコーナーが本屋の一角をしっかりと形成しているのは、ヨーロッパの中でもフランスだけ。
さらにそのラインナップは、「ドラゴンボール」「シティハンター」「ドラえもん」などの不朽の名作から、「のだめカンタービレ」「神の雫」「デスノート」「ONE PIECE」といった人気の作品まで、ありとあらゆる日本のマンガがフランス語に翻訳され、棚に並んでいる。
日本人にとっては、フランス語の学習の格好の教材になるんじゃないだろうか。

また、日本食の消費地としても、ヨーロッパではフランスが最大。
日本人の駐在員だけならドイツやイギリス、ベルギーのほうがはるかに多いだろうから、フランスではフランス人が日本食を食べているということなのだろう。

そのほかにも、柔道なんかも広く普及していて、柔道人口は日本より多いという話も聞いたことがある。

なぜフランスではこんなに日本文化が受け入れられていて、隣国のドイツではそうでもないのか、因果はまったく見当がつかないけど、日本を愛してくれていると思うだけで、こっちも嬉しくなり。
記念に日本がらみの書籍を2冊購入。
これがまたなかなか。

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METRO

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独メトロは、米ウォルマート、仏カルフールと並び、消費財の流通をかじった人間では知らぬもののいない、世界のビッグプレイヤーの1つ。
ウォルマートやカルフールと違うのは、「メトロ」は法人向け会員制ホールセラーであり、個人向けはメトログループのRealやKaufhof、SATURNなどの店舗で展開されている。
入会審査は厳格で、法人カードを持ってなければメトロに入ることはできない。

法人会員には、小売店やレストランなどが名を連ねる。
商社、卸が網目のように小売をカバーする日本と違い、ドイツでは大型チェーンはともかくとして、家族経営レストランなどは、自らメトロで食材を調達するしくみになっている。
そんな流通のネットワークに、なぜか弊社も法人会員として加入していたらしい。
というわけで、週末にカードを持っている同僚に連れられてメトロツアーへ。

倉庫型大規模店舗というのは最近では日本でも見かけるが、ここまでの規模のものは見たことがない。
とにかく広いし、品揃えも豊富。
価格はものにもよるが、市価よりは1-2割安そう。
鮮魚はさらに安く、巨大ロブスター(生きたまま!)も20ユーロ程度。

2時間かけて、ようやく1階の1/3くらいを見終わる。
写真を見る限り、ワインと調味料のコーナーくらいしか周ってないようだけど、きりがないということで、この日はここで終了。
珍しいトリュフオイルやポルトガルワインなども手に入ってなかなか満足。

仕事面でも、メトロに足を運べたことはよい経験となりました。

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ベルナール・アルノー、語る

ブランド帝国LVMHを創った男 ベルナール・アルノー、語るブランド帝国LVMHを創った男 ベルナール・アルノー、語る
(2003/01/15)
ベルナール・アルノー

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長年経営コンサルティングをやってきた中で、「この業界の経営は難しいだろうな」と思った業界がある。
それが、ファッション業界。
もちろん在庫回転率を上げるとか、店舗オペレーションを改善するとか、やれることはあるのだろうけど、「流行」という、全く予測できないものが経営を大きく左右してしまうので、どうにも経営しづらそうに感じてしまう。

例えば、「今のナルミヤインターナショナルをどうすれば救うことができるのか」と聞かれれば、経営コンサルタント的に解を出すことはできる。
しかし、そこに「トムフォードを雇いましょう」という解はないだろう。
その一方で、この業界では一人のデザイナーがブランドを蘇らせた例が多々ある。
そういった意味で、ファッション・アパレル業界の経営は難しいように感じ、だからこそ、おもしろそうに思う。

しかし、本書を読んで、僕の考えは間違っていた、いや、浅慮であったと思い知らされた。
ベルナール・アルノーは、LVMHという、一見流行や景気に左右されやすそうなラグジュアリーブランド集団を、教科書に載るような経営のお手本というべき考え方で、見事に舵取りをしている。

まず、彼らの根底にあるのは、製品品質への徹底的な拘り。
「品質が良いもの」というのは、流行によって品質が悪くなるわけではないから、いつの時代でも「品質がよいもの」であり、そういった意味で、永続性のあるValue propositionを持っている。

「ルイ・ヴィトンの広告から読み取れるのは、伝統的な職人魂であり、本物であるというメッセージです。マーケティングに頼るしかない凡庸な商品とは何の共通点もない、歴史に支えられた技術です。」
「我々の目標は、高品質のブランドを追求する企業グループの構築です。破壊ではなく、構築。」


品質を担保したうえで、デザインは徹底的に「我」を貫き、消費者におもねらない(=競合がまねできない)。

「我々の目的はアイデアを極限まで発展させ、公表し、商品化することです。」
「彼(ジョン・ガリアーノ)が見せたいのは、必ずしも着るための衣服ではなく、極限まで推し進めたアイデアであり、女性や時代に対する新しい考えなのです。」


徹底的な商品への拘りの裏返しとして、マーケティングや流通といった"小手先のテクニック"での事業拡大を嫌う。
このへんはいかにも欧州的とも感じるけど、マーケティングや流通に頼ると商品がおざなりになりがちだという危機感もあるのだろう。

「マーケティングを気にするデザイナーは、いかに才能があっても、ブランドに寄与する作品は作れません。ブランドに革新をもたらすには、本物のクリエーターが必要なのです。」
「一定のマーケティングリサーチは実施しています。ただし、仕事上の誤りを避ける効用はありますが、成功のヒントを与えてくれたことはありません。成功は予測できませんし、直観に頼るしかありません。」
「ギャップやカルバン・クラインのようなブランドは一過性のものでしょう。その存在も成功もブランドの力というよりは、流通のテクニックに頼っているだけです。」


一方で、「デザイン・品質への拘り」は収益性軽視に陥りがちだが、この点は厳格に管理。

「LVMHは慈善事業ではありません。ブランドの永続性を保証するには経済的な成果が必要です。」
「クリスチャン・ラクロワはもともと製品の売上には無関心な男でしたが、その後はずいぶん変わりました。近頃では、商業的な成功こそ本当の成功であり、モード誌の評価はありがたいが、それだけでは十分でないこともわかってきました。」


と、ここまでもまあ立派だと思うけど、なにより一番感銘を受けたのは、事業ポートフォリオの考え方。
ファッションから宝飾・時計、アルコールをグループに持つことで、事業全体で業績のボラティリティを極小化している。
特にアルコールは業績の安定性向上にすごく寄与するようだ。
さらに、ファッションの中でも、流行に左右されないルイヴィトンというブランドを核に据えることで、業績を安定させ、他のブランドで挑戦できる余力を持たせている。

「ワイン・スピリッツ部門はグループの事業の基盤であり、経営の安定に大きく寄与しています。100年後もドンペリニョンは飲み継がれているでしょうが、モードのブランドについては、同じことは言えません」
「グッチでは無理ですよ。モードに偏りすぎているため、キャッシュフローも弱いし経営に波があります。」


彼自身もとは建設業界出身なこともあり、デザインや流行に走りがちなアパレル業界人と一線を画して経営を考えてきたこともよかったのだろう。
非常におもしろかったし、勉強になった。
こういう夢を売る業界は、前向きで、右脳的で、一度飛び込んでみたい業界の1つ。

「忘れてはならないのは、製品を売ることは、夢を見させることだということです。女性というものは、等身大の人間よりも崇高な理想像と自分を同一視するものなのです。」
「ルイ・ヴィトンの原点は、皮革製品や旅行用カバンです。旅こそ人生の芸術であり、ヴィトンと言えば旅に関するユニークな世界です。」
「最初から私の頭にあったのは、ブサックをつぶすことではなく、感動を共にできる仲間と企業グループを構築することでした。」
「ポーカーの賭けをするのとは違います。リスクはありましたが、容認できるものでした。」
「企業にとって戦略は不可欠なものです。私の好きなセネカの名言は『行き先を知らぬ者に追い風は吹かない』と教えています。」
「成功という観点から未来を考えたことはありません。私は会社経営の面白さに惹かれ、そのために行動しただけです。」
「芸術分野では、非合理性はなくてはならないものです。絵画でも音楽でもモードでも、創造と破壊は同時に進行します。企業の成功は、非合理性と合理性の両方をうまく働かせ、この非合理性を経済的効果に変える能力にかかっています。この水と火の二律背反から、心を奪われるような変化が生まれるのです。」


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赤めだか

赤めだか赤めだか
(2008/04/11)
立川 談春

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いやーおもしろい。
文章を書くのが、読ませるのが本当にうまいなぁと思う。
僕は物書きではないけど、同じく言葉を扱う職業をしていて、心底すごいと思った。

立川談志については、数年前のM-1グランプリで辛辣なコメントをしていた印象しか持ってなかったが、愛情と厳しさを双生させたものの伝え方がすばらしい。
こういうふうに伝えればよかったのかと気づく。

「君の今持っている情熱は尊いもんなんだ。大人はよく考えろと云うだろうが自分の人生を決断する、それも十七才でだ。これは立派だ。断ることは簡単だが、俺もその想いを持って小さんに入門した。経験者だからわかるが、君に落語家をあきらめなさいと俺には云えんのだ」

「坊や、よく覚えとけ、世の中のもの全て人間が作ったもんだ。人間が作った世の中、人間にこわせないものはないんだ」

「談春!何してやがんだ。馬鹿野郎!どこの世界に弟弟子の靴揃える兄弟子がいるんだ。おい小僧、よく覚えておけよ!年が下でもお前が兄さんと呼ばれるのはな、お前が後輩に教えられることがあるからだ。形式だけの兄弟子、弟弟子なら、そんなものヤメチマエ!談秋に聞かれたことは、皆答えられるようにしとけ。そのための努力をしろ。靴なんか揃えてる暇はねェんだ。前座の間はな、どうやったら俺が喜ぶか、それだけ考えてろ。患うほど、気を遣え。お前は俺に惚れて落語家になったんだろう。本気で惚れてる相手なら死ぬ気で尽くせ。サシで付き合って相手を喜ばせられないような奴が何百人という客を満足させられるわけがねェだろう」

「よく芸は盗むものだと云うがあれは嘘だ。盗む方にもキャリアが必要なんだ。最初は俺が教えた通り覚えればいい。盗めるようになりゃ一人前だ。時間がかかるんだ。教える方に論理がないからそういういいかげんなことを云うんだ」

「たとえ前座だってお前はプロだ。観客に勉強させてもらうわけではない。あくまで与える側なんだ。そのくらいのプライドは持て。お辞儀が終わったら、しっかり正面を見据えろ。焦っていきなり話しだすことはない。堂々と見ろ。それができない奴を正面が切れないと云うんだ」

「いいか、俺はお前を否定しているわけではない。進歩は認めてやる。進歩しているからこそ、チェックするポイントが増えるんだ」

「己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。だがそんなことで状況は何も変わらない。よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う」


人生訓に富んでいて、情景描写が鮮やかで、人生を明るく笑い飛ばして・・・落語の世界も、なかなかなかなか。
こういった伝記物の本は、立派な人の人生経験を少しでも体感することができて、学ぶことが多いし、刺激になります。


��以下、備忘録)
「一所懸命がんばりなさいなんて口が裂けても云わないのだろう。人生思い通りにはいかないが、どう転んだってそれほど悪いことばかりあるわけじゃないと教えてくれているんだと思った」

「今ならわかる。あの夜、談々も関西も精一杯落語家であり続けようとしてた。たとえ前座でも、それは虫ケラ同然の身分でも、俺達は落語家だった。落語家らしく談秋を送ってやろうと。それが談秋への優しさだと思っていたのだ」

「"一所懸命頑張ります"などと上っ面で云っている暇があるならまず働け、ダメだと思うなら辞めてもらって結構、辛抱なんかする必要はない。どの道人間生きていくためには、苦労、辛抱はつきものだが、我慢できる苦労とできない苦労がある。同じ苦労なら我慢できる苦労を選びなさいってことだ」

「僕を談志に紹介してくれたのが高田文夫先生で、そのせいもあって、談志は僕を落語に現代のギャグをたくさん入れてしゃべりたい奴と判断したようなんです。だったらそれに向かって必死に演るしかない。談志をしくじるのだけは嫌ですから」

「あのな、誰でも自分のフィールドに自信なんて持てない。でもそれは甘えなんだ。短所は簡単に直せない。短所には目をつぶっていいんだよ。長所を伸ばすことだけ考えろ」

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「目線」の違い

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日独の差ではないのだが、ドイツで働くようになって大きく変わったことが1つある。
クライアントと会話をするときの、「トピックのレベル感の違い」とでもいうのだろうか。

東京にいた頃は、トップマネジメントとの仕事もあるものの、どちらかといえばクライアントのミドルマネジメントと仕事をすることが多かった。

そのため、プロジェクトの性質は、ミドルマネジメントが抱える現場レベル、オペレーションレベルでのトピックが多く、会話の内容は、必然的に社内的だったり、業界内だったりの話題が多い。
もちろん、他業界が話題に上ることもあるが、それは例えば、「20代女性へのアプローチとして、他業界でうまくいっている例ってありますか」など、やはり自身の業務にひもづいていたように思う。

一方で、ドイツに来てからは、そもそも日本人で駐在しているのが、現地法人の社長や役員に限られるということもあり、トップマネジメントと仕事をすることがほとんどである。
加えて、弊社ドイツオフィス自体も、元来トップマネジメント向けの仕事が多い。

トップマネジメントの関心は、経済だけでなく政治や社会問題、文化など、非常に多岐に亘る。
会話の中で投げかけられるトピックも目線の高いものが多い。

「世界は金融危機は何年くらいで立ち直ると思いますか?」
「オバマが大統領になって、ヨーロッパにはどんな影響がありますか?」
「日本の中で、究極的に世界で勝ち抜ける業種ってどこでしょうね?」
「EUが温暖化/エネルギー対策に熱心なのは、結局はロシアとのパイプラインへの依存を早く断ち切りたいからですかね?」

といった質問がぽんぽんと飛んでくる。
職業柄「さあ。。」というわけにもいかないので、最近は以前より視野を広げて情報収集するようになった気がする。
これはなかなか大変だが、なかなか楽しくもあり。

おもしろいことに、前述したクライアントの現地法人トップマネジメントも、日本に帰ればミドルマネジメントである。
その点では僕が日本で接していたクライアントと同じ役職にあるにも関わらず、1つの会社を任される立場になることで、自然と目線を高くなり、話題も変わる。

こういう会話をのらりくらりと交わすのではなく、自分の考え・主張を語れるようになるのが、今年の目標の1つ。
がんばろう。

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解は必ずある

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「仕事や住まいを失った元派遣労働者らを支援した『年越し派遣村』実行委員会などは15日夜、東京都内で労働者派遣法の抜本改正を求める集会を開いた。元派遣労働者ら約400人が集まり、『安定した雇用や生活できる賃金を保障しろ』と訴えた。労組関係者からは、企業の責任を問う声も出た。」
��1月15日、時事通信)

気持ちはわかるのだが、このやり方ではあまりうまくいきそうにないな、と思う。
何かを変えたいと思うときは、同時に、変える対象となるもの(人だったり組織だったり制度だったり)が、何のために存在しているのかについてまで考えを及ばせなければならない。

そもそも「派遣」というのは、「柔軟性のある労働力の確保」という目的に対する1つの手段である。
事業環境に応じて必要なだけ人を増やしたり減らしたりできるほうが企業の安定性は高まるし、事業環境に応じて増やしたり減らしたりできるから採用もしやすい。
採用しやすいことが失業率を押し下げたり、(特に景気が上り調子の時は)採用される側も自分のライフスタイルに応じて働いたり辞めたりを柔軟にコントロールできたり、といったプラスの側面もあった。

ようは、「柔軟である」ことが大切なのである。

「柔軟さ」を至上目的としているならば、『安定した雇用や生活できる賃金を保障しろ』という主張を「派遣」という制度に求めるのは全くの矛盾である。
安定した雇用を保障しなければならないとなれば、企業は派遣労働者を雇用していた国内の工場を機械化するか、労働力の安い海外に生産拠点を移すだろう。
派遣制度は形骸化し、日本全体の雇用は減り、失業率が上がる。
安定雇用を派遣に求めれば求めるほど、社会全体の雇用は不安定になる。

また、安定雇用に関しても、「理由なき契約途中での解雇」と「契約満了での解雇」とは区別して議論されなければならない。
前者はたしかにけしからんが、後者も含めて「安定雇用を」というのなら、前述の通り、物事は簡単ではない。

次に、「生活できる賃金の保障」は、制度の問題だけでなく、派遣会社がどれだけマージンをとっているかということとも関係する。
職種にもよるだろうけど、雇用側からすれば、「けっこうな時給を払ってるけどなぁ…」と感じる企業も多いのではないだろうか。
とはいえ、じゃあ派遣会社が暴利をむさぼっているかといえば、おそらくそんなこともないだろう。
エンジニアの派遣など、専門性に特化した派遣会社は利益率も高いが、大手派遣会社の営業利益率はほんの数%である。
「賃金を上げてください」と言われても、それは派遣会社にとっても、(前述の通り)雇用側にとっても、はいわかりましたとできる話ではない。

こうした「派遣」の意義、根底の問題をふまえたうえで、もう一度冒頭の問題に目をむけてみる。

年越し派遣村のみなさんが、それでも「安定した雇用と生活できる賃金の保障」を至上目的にするのなら、やりかたはいろいろあるだろうが、例えば、柔軟な労働力を供給する会社、今でいう派遣会社が、単に斡旋するビジネスモデルから、彼等が雇用し、派遣するモデルに変えるよう働きかけてみてはどうか。
つまり、「派遣社員」という役職の正社員を雇用する会社が存在する社会をつくるのだ。
今のルールの中でこれをやると派遣会社は破綻するであろうから、例えば派遣会社の法人税免除、または補助金の交付などを法律化してくれ、といった提案が必要になる。
介護サービスなどと同様の考え方で、派遣を守るのである。

いずれにしろ、こうしたことが全て検討されたうえで、冒頭のセリフに至っているのだろうか。
そうでなければ、派遣という制度の意義ををいま一度考え直してほしいし、全て検討済みだというのなら、マスコミはその議論と事の本質を丁寧に報道してほしい。
単に窮状を紹介して同情を買おうとするような浅慮な報道は、事の本質を見失い、結果、派遣労働者をますます追い込むだけである。

この問題が、日本全体の社会不安をなくすよう、正しく解決されることを祈る。

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リゾート再生請負人 星野佳路

プロフェッショナル 仕事の流儀〈1〉リゾート再生請負人・小児心臓外科医・パティシエプロフェッショナル 仕事の流儀〈1〉リゾート再生請負人・小児心臓外科医・パティシエ
(2006/04)
不明

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「その結論が正しいかどうかは、ビジネスの世界においては、ある意味、誰にもわからないんです。だからこそプロセスを大切にするということなんですね」

「競合他社がどう出てくるかわからない中で、成功の確率を高くするには、プロセスを充実させるのが最良の手段」

「自分たちが最も得意とする人たちを選ぶということが、コンセプトを作る目的と言っていいかもしれません」

「お客様に喜んでもらうことが私たちの仕事ですから、そのために何をすべきかという経営判断は、じつはそれほど難しくありません。ですから、接客をするスタッフもその上司もおそらく同じ判断をするであろうというレベルまで価値観を共有させておくことが、一番大事なのではないかと私は考えています」

「自分でやったほうが本当によいと思っているのなら、休憩室で愚痴を言わないで、手を挙げてもらったほうがよっぽどいい」

「会社のことを特別によく知っている人と、ほとんど知らない人とでは、フェアな議論になりませんよね」

「結果的に学んだのは、経営にとって正しいということは、社員にとってあまり重要ではないということです」

「人間の脳は成功体験からしか学ばない」

「選択肢はたくさんあって、どれも正しい可能性があるんですよ。その中で最も正しいものよりも、最も共感されるものを選ぶほうがいい。そのほうが、組織の中で達成に向かう推進力になるんです」

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義経

義経〈上〉 (文春文庫)義経〈上〉 (文春文庫)
(2004/02)
司馬 遼太郎

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義経〈下〉 (文春文庫)義経〈下〉 (文春文庫)
(2004/02)
司馬 遼太郎

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源義経が人気があるのは、彼は悲劇のヒーローであり、軍事的天才であり、一方で人間として不器用であり、といったこともあるのだろうが、僕が彼をかっこいいと思うのは、「彼は貫くべき信念を持っている」という点だ。
その点では頼朝も同じであり、「鎌倉に幕府を作る」という信念を貫いて行動しただけである。
明確なコントラストで描かれている頼朝と義経だが、信念を貫いたという点では同じであり、信念を貫く強い意志を持ち合わせていたという点で似たもの同士の兄弟に思える。

「遠く離れていても、彼なら自分のことをわかってくれる」という考えは、たしかに甘い。
顔が見えないというだけで、人はいくらでも疑心暗鬼になり、悲観的な想像をしてしまう。
信じられないほど馬鹿げた讒言だけでも、長年の信頼関係を一瞬で吹き飛ばすだけの威力を持っている。
長年つきあったカップルが遠距離恋愛をきっかけに破局する、というのはありふれた話であるが、それは「お互いが距離を超えられるほどの信頼関係を作れていなかった」などという簡単な理由づけですまされるべきものではなく、もともと人間が持っている、「見えないものへの恐怖」に対する配慮をどこまで徹底できるか、を真剣に考えなければならない。

信念というものは、我々が他人の人生に踊らされることなく、自らの人生を幸せに生きるための鍵であるが、忘れてはならないのは、自分の信念を支えてくれている人への配慮である。
それは、家族でもあり、恋人でもあり、友人でもあり、会社組織でもある。
配慮なき信念は、わがままにすぎない。

というようなことを実感を持って感じるに至ったのは、海外駐在での経験あってこそだろう。
われながら昔よりずいぶん多感になったな、と感じる今日この頃。

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Milano / Como

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ドイツで暮らし初めてから、いや、むしろその前から妻と計画していた、「ミラノバーゲンツアー」を先週末に敢行。
思えば東京に住んでいた頃は毎月のように服を買いにでかけていたのに、デュッセルドルフにはおしゃれな店もなく、ウインドーショッピングすらままならぬ日々を過ごしてきた。
この日は、半年分の鬱憤を晴らすかのように、気ままに店に入りあれやこれやと試着し、ミラネーゼを見ておしゃれの勉強をしたり、50%以上のディスカウントに興奮したりと、陽気なイタリアを楽しむ。
お互い靴を一足ずつ戦利品として獲得し、ミラノをあとに。

行き先はミラノから電車で北に30分ほどの位置にあるコモ湖(=写真)。
かつてローマのカエサルが保養地にしており、今でも(妻の持ってたゴシップ誌によると)ジョージ・クルーニーをはじめとするハリウッドスターが足しげく通うリゾート地であるらしい。
なるほど湖畔にはところどころ中世の豪邸などが立ち並んでいる。

妻と新しい場所を訪問すると、自然「ここは街の雰囲気がどこどこと似てるね」という話になるのだが、僕のコモ湖の印象は、「ここは(福岡の)門司に似てる」というものだった。
ヨーロッパと日本なので、当然似て非なる部分のほうが多いのだが、僕はどうしてもヨーロッパの都市を日本のどこかと結びつけたがる。
母国を懐かしみたい、日本に帰りたいという思いが強いのだろうか。。

一方の妻は、「ここは(スペインの)マヨルカ島に似てる」と言う。
なんともグローバルでかっこいい発想・・・とも思う反面、それは見た目まんまではないか、という気がしないでもない。
こういう会話は、お互いの性格や男女の着眼点の違いが垣間見れておもしろい。

なにしろそんな話をしながら、日曜は、「バーゲンツアー第二弾」ということで、コモ湖から程近いスイスのアウトレットへ。
バーゲンの時期にアウトレットに行くと、とんでもなく安くて驚愕(たいしたものはなかったけど)。

話があちこちにそれてしまったが、かねてからの念願が叶って、よかったよかった。

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Below the freezing point

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本日の天気(6日):晴れ
最高気温:-6℃
最低気温:-14℃

とは今週火曜日のデュッセルドルフの天気。
氷点下の一日を過ごすというのは人生初ではないだろうか。

本日の天気(9日):晴れ
最高気温:-2℃
最低気温:-7℃

極寒日が続く・・・。
ただ、そのおかげか空は澄み切っていて、思わず見とれてしまう。


寒さのせいか、おかしなニュースも。
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『ドイツの子ども3人、寒さから逃れようとアフリカ目指すも失敗』

��ベルリン 5日 ロイター]
ドイツのハノーバーに住む3人の子どもが、寒さにうんざりしてアフリカを目指したものの、地元の駅で警察に補導されるという出来事があった。警察が5日に発表した。

��歳の男児と7歳の女児は、新年に何か特別なことをしようと暖かいアフリカに行き結婚することを計画。証人として女児の妹(5)も連れ、1日早朝に路面電車で中央駅に行き、空港に向かう電車に乗り込もうとしているところを警察に止められた。

警察のスポークスマンによると、子どもたちは食品や水着、サングラス、エアマットなどを詰めた3つのスーツケースを持っていた。警察官は子どもらに、現金やチケットなしではアフリカに行くのは難しいことを説明、代わりに警察署の見学ツアーをさせた後、親元に帰したという。

http://www.excite.co.jp/News/odd/E1231232922838.html

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The only way to do great work is to love what you do




昨年100回は聴いたであろう、Steve Jobsのスピーチ。
「綺麗な英語をマスターするため」というのが当初の目的だったが、今では僕のお気に入りのスピーチの1つ。

メッセージはものすごくシンプル。
「あなたがすばらしいと信じること、愛することをやりなさい。それが自分の人生を生きる唯一の道」

僕は今の仕事を愛しているか、と言われれば、答えはYesでもありNoでもある。
愛せることを探すべきか、今やっていることを愛するべきか。
今やっていることを愛するためには、何を変えなければならないのか。

これを2009年の命題として、大きなチャレンジを続けていきたい。


"I'm convinced that the only thing that kept me going was that I loved what I did. You've got to find what you love. And that is as true for your work as it is for your lovers. Your work is going to fill a large part of your life, and the only way to be truly satisfied is to do what you believe is great work. And the only way to do great work is to love what you do. If you haven't found it yet, keep looking. Don't settle."

"I have looked in the mirror every morning and asked myself: "If today were the last day of my life, would I want to do what I am about to do today?" And whenever the answer has been "No" for too many days in a row, I know I need to change something."

"Your time is limited, so don't waste it living someone else's life. Don't be trapped by dogma — which is living with the results of other people's thinking. Don't let the noise of others' opinions drown out your own inner voice. And most important, have the courage to follow your heart and intuition. They somehow already know what you truly want to become. Everything else is secondary."

"Stay Hungry. Stay Foolish."


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Kaiserswerth

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「毎日家でごろごろもね」ということで、デュッセルドルフ郊外にあるKaiserswerthへ。

Kaiserswerthはかつてのドイツ帝国直属都市であり、中世の要塞都市なのだとか。
中世の建物がそのまま現存していたりもする、とても雰囲気のある街。
ライン川沿いは要塞都市とか古城とか、歴史深い街がまだまだありそう。

写真は、神聖ローマ帝国皇帝のフリードリヒ1世(通称赤髭王バルバロッサ)の居城跡。

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とらや「懐中汁粉 小鼓」

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妻の友人が日本からのおみやげにくれたとらやの「懐中汁粉 小鼓」
これは絶品。

とらやはカフェをやったりパリに出店したり、伝統的な和菓子の世界観を積極的に広げようとしていて、「Made in Japan」ブランドとして応援したい企業の1つ。

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The Maasai

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旅も終盤に差し掛かり、マサイマラ国立保護区のすぐ近くにあるマサイ族の村を訪問。

マサイ族がジャンプするのは、神に近づく行為らしい。
村で最も高くジャンプできる男は、美しい妻を娶ることができるという。
宿泊したロッジでもこの村でも、マサイ族は踊りで出迎えてくれるが、踊りとは歌いながら「ジャンプ」することである。

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はっきり言って、飛びすぎ。
草履みたいな靴を履いて、なんでこんなに飛べるのか。

住居や生活は驚くほど原始的で、にわかには信じられない。
「日本に結婚していない女友達はいないかい?連れて来てくれたら牛と交換しよう。」と言われる。
牛はいらないし、その発想自体に呆れてしまう。

元来、マサイ族は非常に勇敢でプライドも高いらしい。
たしかにその通りなのだろうが、観光に訪れるようなマサイ族は、商売っ気を出しすぎているきらいがある。
「写真を撮られると寿命が縮むと信じているので、撮影厳禁」と教わったのに、当の本人たちは「どんどん写真を撮ってくれ」という有様。
村を案内してくれたのも束の間、気付いたら象牙のペンダントを買ってくれだのなんだのの押し売りが激しい。値段も市価の3-4倍とばかにしている。

というわけで、マサイ族村訪問はちょっと興ざめ。
観光客の訪問を受け付けないような、誇り高きマサイの村だと、また全然違うのかもしれないけど。

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The Masai Mara

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ライオンに襲われ息絶えたバッファロー、
チーターに襲われたばかりのトムソンガゼル(=写真)、
摑まえた小さな鳥を離さないハゲワシ…。

ケニアとタンザニアの国境に位置するマサイマラ国立保護区は、肉食獣と草食獣がともに生息し、その数もケニア随一を誇る。
ここでのルールは、まさに「弱肉強食」。
当たり前のことだが、当たり前のことが当たり前に繰り広げられている日常をお目にかかったのは人生で初めてだ。
下半身を喰われたバッファローと、それを見張るライオン、さらに高い木の上から虎視眈々とライオンの隙を窺うハゲワシの群れが織り成す光景には恐怖すら覚える。

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「生態系」というのは本当によくできている。

ライオンはバッファローやヌー、シマウマなどの大型動物を狙い、チーターはトムソンガゼル、トピなどの小型動物を狙う。
食べ残しはハイエナやハゲワシが骨まで食べつくす。
特定の動物だけに食事が偏ることがない。

草食動物でも、背の高いキリンは高い木の上の葉を好み、象は木の足元の葉を好む。
シマウマやバッファロー、ヌーは草原の草を食べながら共存する。
やはり特定の草が食べつくされ、砂漠化することがないように棲み分けられているのだ。
��アンボセリの砂漠化は象が流入しすぎたことが原因らしいが・・・)

中学校の理科で習ったようなことが、目の前の現実として機能しているのである。
目の前でそのしくみの美しさを体感すると、そこにある地球の神秘に神々しさを感じてしまう。

マサイマラは自然界の大原則をまざまざと見せつけ、同時に"動物"としての人間がいかに弱いかという現実を我々に突きつける。
この世界では、我々の命は数日と持たないだろう。

人間の存在意義を「考えることにある」と喝破したパスカルの言葉も、今はからだの芯から理解することができる。
ケニアの旅は本当にいろいろなことを考えさせてくれた。


「人間はひとくきの葦にすぎない。
自然のなかで最も弱いものである。
だが、それは考える葦である。

彼をおしつぶすために、宇宙全体が武装するには及ばない。
蒸気や一滴の水でも彼を殺すのに十分である。
だが、たとい宇宙が彼をおしつぶしても、人間は彼を殺すものより尊いだろう。
なぜなら、彼は自分が死ぬことと、宇宙の自分に対する優勢とを知っているからである。
宇宙は何も知らない。

だから、われわれの尊厳のすべては、考えることのなかにある。
われわれはそこから立ち上がらなければならないのであって、われわれが満たすことのできない空間や時間からではない。
だから、よく考えることを努めよう。
ここに道徳の原理がある。」
��「パンセ」(347)より)

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Lake Nakuru National Park

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アンボセリを離れ、一路ナクル湖へ向かう。
ナクル湖はナイロビの北西160kmにあり、この日はランチを挟んで一日中ドライブ。

ケニアに来て驚いたのは、日本車の多さ。なんでもこの国の車の8割は日本車らしい。
我々のサファリカーも当然トヨタ車。
それ以外にも、電話機や水道管など、あらゆるものが日本の開発援助によるものなのだそうだ。
「日本にはいろいろお世話になっているからね」と話すケニア人は多い。

フラミンゴの生息する湖として世界的に有名なナクル湖では、その数は最大で200万羽を超えたという。
この季節は比較的少ないらしいが、それでも数千はいただろうか。
湖面を埋め尽くすフラミンゴの群れにはただただ圧倒される。

ナクル湖ではクロサイにも遭遇。
こちらは恐竜そのもの。
こんな動物が生息し、ごく自然に歩いていることにあらためて世界の広さを感じさせられる。

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Amboseli National Park

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ビクトリア湖の朝焼け 100万羽のフラミンゴが
一斉に翔び発つ時 暗くなる空や
キリマンジャロの白い雪 草原の象のシルエット
何より僕の患者たちの 瞳の美しさ

さだまさしの「風に立つライオン」を聴いて以来、ケニアは、そしてキリマンジャロは、僕の憧れだった。
アンボセリ国立公園は、ナイロビから南へ250kmに位置し、ヘミングウェイが「キリマンジャロの雪」を執筆した場所でもあるそうだ。

朝ナイロビのホテルを出て、途上国特有のゴムが焼けるような臭いの中、サファリカーで南に向かう。
ナイロビ市内を出ると同時に、道路は未舗装となり、車はガタガタと音を立てながら砂埃を巻き上げながら、時に激しく揺れたり、パンクしたりしながら、国立公園を目指す。
約5時間のドライブの後、ようやく公園内に辿り着く。

ようやく辿り着いた公園、しかしキリマンジャロはその姿を見せない。
昼間は雲がかかっていることが多く、山頂を見たいのなら、日の出直後の早朝がチャンスなのだとのこと。

気を取り直して翌朝、日の出直前の姿が上の写真。
ついに山頂を拝むことができたものの、10分後にはもう雲で隠れてしまった。
なんとも奥ゆかしいキリマンジャロ・・・。

わずか10分の貴重な時間を存分に堪能し、アンボセリを離れナクル湖へ。

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謹賀新年

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あけましておめでとうございます。

今年はデュッセルドルフにある浄土真宗のお寺に初詣。
皆様、本年もどうぞよろしくお願いします。

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Thank you for what you have done for me

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ケニアから無事戻りました。
書きたいことはいろいろありますが、ドイツもあと1時間少々で新年ということで、詳細は来年に。

今年は結婚と海外赴任という、公私共に大きな変化がありました。
結婚は僕に、「人間は一人で生きているわけではない」ということを心底実感させてくれましたし、
海外赴任は、井の中の蛙であった僕に、世界の広さと、その裏返しとしての日本という国のアイデンティティを考える機会を与えてくれています。
また、モルディブ&マカオへのハネムーンを皮切りに、韓国、ドイツ、ベルギー、フランス、チェコ、オーストリア、スイス、ケニアと、10カ国を旅したことも大きな財産になりました。

まずは、今年一年、僕を支えてくれた皆様にこの場を借りてお礼を言いたいと思います。
本当にありがとうございました。

そして何より、身勝手な僕につきあわされたことで、僕以上に大きく生活が変わったにも関わらず、
毎日変わらぬ笑顔とつつみこむような優しさで、隣で支えてくれた妻に心から感謝してます。
ありがとう。

来年もどうぞよろしくお願いします。

2008年12月31日、デュッセルドルフの自宅にて。

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