ヒートアイランド

ヒートアイランド (文春文庫)ヒートアイランド (文春文庫)
(2004/06)
垣根 涼介

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人間の小ささや非力さを思い知らされるほど広大で圧倒的な自然を持つブラジルと、そこに生きる大胆であけっぴろげな南米人。
途上国特有の雑踏と活気が息づくベトナムと、自分の手で未来を切り拓こうとするアウトサイダー。
狭い土地にビルを乱立させ若者を呼び込む大都会渋谷と、そこで今を生きる若者。

「ワイルドソウル」「午前三時のルースター」「ヒートアイランド」と読んで、垣根涼介は"舞台の使い方"と"舞台にあった人物設定"が非常にうまいなぁと思う。
生きてきた国や土地、見てきた世界が、人間を作り上げていくのだということに改めて気づかされる。
どの国や土地がいいとか悪いとかではなく、人間を見れば生きてきた場所がわかるということであり、
逆に言うと、人間の年輪に変化をもたらさない土地があるとしたら、それはあまりにも寂しい。

本の内容とかけ離れてしまったが、いろいろな場所を旅することが、人に他人と違う年輪を加え、ユニークで魅力的にしていく1つのきっかけになることは間違いない。
さて年末はどこに行こうか。

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The Dark Night

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ヨーロッパは街頭の数が少なく、夜は極めて暗い。
夜にクルマを駐車しようとしても、暗くて白線なんかまず見えないので、どこに駐車していいかわからなくて、すごく時間がかかる。
アウトバーンなんかはさらにひどく、街灯すらない。
まさに「一寸先は闇」の中、みんな猛スピードで走っていて、日本人からするとすごく怖い。

よくよく考えると、欧米人はオフィスでもほとんど電気をつけない。
部屋が暗い中平気でパソコンの明かりだけで仕事をしたりする。
オフィスを見渡しても、電気がついてるのは日本人のいる部屋だけだったり、ということが珍しくない。
最初は省エネ志向かと思ったが、聞くと暗いと思ってないのだという。

欧米人はもともと目の色素が薄く、強い光に弱く、逆に暗くても比較的よく見えるのだそうだ。
なのでサングラスは必須だし、逆に街灯は必要ない。家の中も暗くて大丈夫。
そういえば昔イギリスにホームステイしたとき、その家では電気をつけずにろうそくに火を灯して夜を過ごしてた。

色素の濃い日本人にはつらいけど・・・ほのかな光に照らされた街並みは、やはり絵になる。
��写真はプラハを流れるヴルタヴァ川沿い。)

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3年で辞めた若者はどこへ行ったのか

3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書 (708))3年で辞めた若者はどこへ行ったのか―アウトサイダーの時代 (ちくま新書 (708))
(2008/03)
城 繁幸

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ハタから見れば、僕なんかは平成的価値観を持つアウトサイダーなのかもしれない。
新卒で入社したのは外資系戦略コンサルティングファーム。年功序列や終身雇用とは無縁の、完全実力主義の世界。死に物狂いで働いて身につけた問題解決スキルと経営ノウハウという高い専門性のおかげで、今ではどこに転職してもまあなんとかなるだろうと思うし、ドイツに来たことで英語に対するコンプレックスも以前ほどではなくなった。
もちろん会社にしがみつく、という感覚は持ちあわせていない。今の自分が一番成長できるフィールドがここにあるというだけだ。

しかし、自分自身を振り返ると、僕は決して波乱万丈の人生を望んでいるわけではないし、社会を変えたいといった湧き上がる思いがあるわけでもない。
むしろ、平凡で穏やかで、落ち着いた人生を望んでいるような気さえする。そう考えると、コンサルタントという仕事を選んだのも、「どこに転職しても通用する」という”安定”した将来を手にしたいがためだったとすら思えてくる(もちろん、現時点でのスキルなど長い将来を約束するものでも何でもないのだが)。
なんと保守的なことか。。

したがって、僕は著者の言うアウトサイダーではない。
決定的に違うのは、僕は「自分なりの価値観や社会に対する思い」が、自分でもよくわからないままキャリアを重ねているということ。そもそも僕は、何者かになりたくてコンサルタントになったのではない。単におもしろそうだからというだけだ。

そして、「自分なりの価値観」がないことこそが、今の自分の最大のジレンマである。たしかにキャリアの選択肢はいろいろあるが、いろいろあることに逆に甘えてしまい、自分が本当にやりたいことや、自分が何者でありたいかを真剣に考えることから逃げてしまう。
それでも今の会社はいろいろと成長の機会を与えてくれるので、結果的にキャリアとしては順調に見える。しかし、これはまさに会社に依存して生きていることに他ならず、昭和的価値観の典型である。

自分なりの哲学がないということは、人間としてのエッジに欠けるということだ。
人と話をしていて、圧倒的な個性や存在感を残すことができない。むしろ人間としての深みが欠落している気さえする。

「そういう意味では、スコッチに似ているかもしれない。回り道や畑違いの経験を積み重ねることで、後から風味が出る、そんな気がします」

本書で登場する、グローバル企業のエリートコースからバーテンダーへ転身した男性のコメントが印象的。
人生を色鮮やかで風味豊かなものにするためには、たとえそれが遠回りになったとしても、コンサルという枠を出て新たな挑戦をしかけていかなければならない。
踏み出すタイミングとしては、早いどころかもうぎりぎりなのかもしれない。

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3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術

3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術3000人のユダヤ人にYESと言わせた技術
(2008/06/17)
マーク富岡

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「ある分野のことを学びたかったら、その分野の本を少なくとも3冊読みなさい。3冊読めばエッセンスがわかります」と言ったのが誰だったか忘れたが・・・先日に続き交渉術の本を読んだ。

交渉術の本はそれ以前にも1冊読んだことがある。

負けない交渉術―アメリカで百戦錬磨の日本人弁護士が教える負けない交渉術―アメリカで百戦錬磨の日本人弁護士が教える
(2007/01/19)
大橋 弘昌

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というわけで、これで3冊になったわけだし、よく考えたら交渉術のセミナーも日本語で1度、英語で1度の計2度受けた。
いい加減エッセンスもわかりそうなものだが、というより、エッセンスは頭ではわかったのだが、いざその場になると体がついてこない。
その理由は、「頭ではわかった」とは言ってもきちんと整理されてるわけではなく、厳密に言えば頭でもわかってないことが1つ目、2つ目は頭で理解するのと実践できるのは違うということだろう。
さらに言えば、もともと頭に血が上りやすい性格のため、「交渉は冷静に!」「交渉は勝ち負けではなくWin-Winです!」というのが性格的に相性が悪い気もする。

とはいえ、まずはエッセンスを整理して、それをもとに毎回事前準備すればだいぶ違うのだろう。
本で学んだことを活かすというのは、まさにインプットを整理してアウトプットの練習までするということだ、と反省する今日この頃。。


��以下、備忘録)
・相手の話に説得力があり、自分がそれに納得してしまうと、提示された条件がそもそもの目的にかなわないものでも、簡単に受け入れてしまいがち。したがって、交渉の目的とゴールははっきりと紙に書いておく。

・全体の流れを変えるような主張は、最後まで取っておくべきではない

・即答するな。あとで答える勇気を持て

・相手を満足させるためには、「交渉に成功した」と思ってもらわなければならない。そのためには、高めの玉を投げて交渉の余地をあえて作っておくべき

・主張が噛み合わないときの代替案は、まず相手に歩み寄り、そのぶんの自分のリスクを補強する新たな条項を付け加えること

・険悪な雰囲気になったときは、無理に話術で取り繕うより、短い休憩を入れる

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写真を額に入れずに飾ってみた

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大のお気に入りであるPeter CoffinのRainbowに倣って、ぺたぺたと壁に貼ってみる。
意外とおしゃれ。

本物はすごくおしゃれ。
いろいろな場所で撮影した虹の写真を螺旋状に組み合わせて虹のスパイラルを表現。
パリ、マレ地区にあるGalerie Emmanuel Perrotin所蔵。

Rainbow


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German driver's license

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ドイツの運転免許証が届いた。
ドイツの免許証は、日本の免許証を持っていれば無条件で交付してもらえる。
通常は、日本の免許証とドイツの免許証を交換することになるのだが、仕事などで日本に帰ることもある、という証明があれば、日本の免許証も持っててもよいらしい。
というわけで、日本の免許証とドイツの免許証と、2つの国の免許証を手にすることができた。

ドイツの免許証があれば、EU域内はどの国でも運転できる。
どうやら日本でもドイツの免許証で運転ができるそうだ(入国後1年間だけど)。
ただ、何よりすごいのは、この国の免許証には「更新」がない。
一度交付されれば、生涯使える。
これからはヨーロッパに渡航することがあっても、もう国際免許証を申請する必要はないのだ。
朝早くから不便極まりない場所にある運転免許場に行って、長蛇の列に並んで不毛な一日を過ごさなくていいのだ。
すばらしい!

ただ…一生モノなんだったら、もう少しちゃんとした写真を使うんだった。

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LOCAL CELEBRITY II

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こっちは妻の分。
いい買い物をした。

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LOCAL CELEBRITY

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LOCAL CELEBRITYは、LAにあるカジュアルブランド。
チープな素材感とパンチのあるデザインがおしゃれ。
本国アメリカでは安いけど、日本やヨーロッパで買うとちょっと高いし、品数も少ない。

というわけで、アメリカから直接買って日本に輸入、その後日本から妻とともにドイツ入り。
実に世界を一周して、昨夜我が家にたどりついた。
送料がかかるのでまとめて買おうということで、2人で合計9枚ご購入。
送料込みでも1枚あたり3,000円。ドイツで買うと1枚8,000円くらいするのだ。

すっかり寒くなったのでなかなか着る機会もなさそうだけど、来年の春が楽しみ。

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徒歩10分の絶景

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散歩がてら写真の自主練。

我が家からは徒歩10分でライン川。
なんとも素敵なロケーション。
どう切り取っても絵になるとはこのことで、あまり練習にならない。。

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Deux Jours

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今週は妻が日本に帰国。
こういう時に限って風邪をひいて寝込む。
一人暮らしでの病気はいつもつらかったが、異国ではなおさら。

病気をすると出かける気がなくなるから、何が困るって食べ物に困る。
それでも日本にはコンビニがあるから、家を這い出れば食べ物を買って帰れる。
しかし、ここにはコンビニなどない。
コンビニどころか、うちの周りには店すらほとんどないのだ。
日本の便利さを改めて思い知る。

しかし、すばらしいことに、妻は一週間分の料理を作りおきしてくれていた。
丁寧に温め方まで書いてある。
一人で病気をして寝込んでいるが、一人ではないのだ!
なんという安心感。なんという幸福。

何を書いてるのかさっぱりわからなくなったが、その妻からの初めてのプレゼントであるBerluti『Deux Jours』(写真)と10月10日で一周年。
鞄を磨き、そして自分も磨かなければならない。。

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Love Paris VI



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『靴を磨きなさい。そして、自分を磨きなさい』(Olga Berluti)

これで最後。
次はパリで働きたい。

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Love Paris V

エッフェル塔

夜のエッフェル塔。
個人的には東京タワーのほうが好き。

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Love Paris IV

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サクレクール寺院からの眺め。

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Love Paris III

バトームーシュ

セーヌ川とバトームーシュ。

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Love Paris II

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サン・ラザール駅。

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Love Paris

パリ夕焼け

とにかくパリは最高。
何度訪れても感動する。

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Mont Saint-Michel

St Michel

凱旋門賞と並ぶ今回の旅行の目玉がモン・サン=ミシェル。
以前パナソニックのカーナビのCMを見て以来、その光景がずっと目に焼きついていて、いつか必ず行ってみたいと思っていた。

日本からは遠くても、デュッセルからなら近い!と思っていたらそうでもない。
��もちろん日本からよりは近いが)
彼の地は、パリまで飛行機で1時間、そこからTGVで3時間、さらにバスで1時間かけてようやく辿り着く。
待ち時間も含めると移動時間は約9時間。まさに一日がかりだ。
いやがうえにも期待が高まる。

満潮時は海に浮かんだ島になるらしいが、その佇まいは修道院というより要塞を彷彿させられる。
実際、英仏百年戦争の時は要塞として活躍したそうだ。
モン・サン=ミシェルへの一本道は本当に雰囲気満点。

9時間分の期待をぶつけても、モン・サン=ミシェルは裏切らなかった。
1つの建築物を、あらゆる角度から、近くから遠くから、昼も夜も、これでもかというほどシャッターを押したのだから。

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Prix de l'Arc de Triomphe

凱旋門賞


念願かなって凱旋門賞を観戦。
この日は2レースから7レースまで全てがG1のビッグデー。
お洒落をきめこんで競馬場にかけつけるフランス人のおかげで、競馬場の雰囲気は華やかで独特。
競馬場は社交の場でもあるのだ、という言葉に偽りがないことを実感。

それでも、ひとたびレースが始まれば日本と同じ。
歓声と罵声、歓喜と悲鳴が飛び交い、地元ザルカヴァ(写真の緑の勝負服の馬)が凱旋門賞を征したことで興奮はピークに。
メイショウサムソンは残念だったけど・・・最高の一日でした。

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POWER OF THE MUSIC



久しぶりにこの曲を聴いた。

音楽はその曲をよく聴いた頃の思い出とか、当時の気持ちとかを思い出させてくれるものだ。
受験勉強の頃聴いてた曲を聴けば早朝の通学電車の情景が思い浮かぶし、上京したての頃に聴いてた曲は初心を思い出させてくれる。

「花嫁の手紙」は、花嫁の家族に向けられたものだけあって、おそらくは新郎以上に新婦の家族のほうが強烈に記憶するのだろう。
この曲を聴くだけで、メッセージの内容まで鮮明に思い出すのだから、つくづく音楽は偉大である。
��と言っても、そもそもそんな昔の話でもないのだけど)

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