パンドラ 上 (1) (幻冬舎文庫 い 33-1) (2008/05) 井上 由美子相田 冬二 商品詳細を見る |
パンドラ 下 (3) (幻冬舎文庫 い 33-2) (2008/06) 井上 由美子相田 冬二 商品詳細を見る |
「どんなガンでも治る治療薬が世に出たら、人間は幸せになれるか」という、一見我々が当然期待する未来に対し、それはパンドラボックスにもなりうるし、そうしてしまうのは人間の弱さであり愚かさである、というような話。
WOWOWで評判の連続ドラマということで、日本にいればテレビで見たかったのだけど、小説版があったので飛行機で読書。おもしろかった。
ドラマ向けの脚本ということで分量が決められてるせいか、内容は軽く、特に後半は尻すぼみして終わる感じは否めない。逆にドラマで見ると、長すぎず短すぎずいいドラマなのかなと思う。
一方で、これはドラマの脚本ならではというか、人物描写のリアリティは非常に高い。
登場人物の個性はしっかり立っているが、現実離れしたキャラがいるわけでもない。あくまで実在世界に根ざしている。そこにリアリティがあるからこそ、単なるエンターテインメント小説より、学べることや考えさせられることは多い。
思うに、小説やマンガを題材にしたドラマ化、映画化は成功例も多いけど、逆は難しい気がする。
前者は間引きながらリアリティを補強するという味付けに力を注ぐのに対し、後者はもともと尺が決まっていたストーリーをわざわざ小説化のために追加で書き下ろすという手間をかけないからだろう。
というわけで、構えることなく気軽に楽しむにはいい本だと思う。
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