ドレスデンの哀愁

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フィレンツェの景観をルネサンスの象徴と呼ぶなら、エルベ川から眺めるドレスデンのそれは、戦争と共産主義の象徴だろう。

第二次世界大戦で街は壊滅的に破壊され、ドレスデンは破壊された瓦礫を使って街並みを復興する。
黒焦げの瓦礫と白く新しい石のモザイク模様は、戦争の傷跡を消すことを許さない。

その後東西ドイツが統合。共産主義から資本主義へと体制が変化し、ドレスデンは東ドイツ出身の貧しい都市としてドイツの一部となる。
体制が変われど経済は活性化しない。安価な労働力を求める西の企業は、ドレスデンを通り越してチェコやポーランドへと進出。
東欧諸国が成長曲線を描く中で、東ドイツは取り残される。ドレスデンも例外ではない。
経済大国の一部でありながら、時代に翻弄され、何十年も時間が止まったままだ。

エルベ川のフィレンツェは、ドイツのどの都市よりも美しいが、その美しさはどこか儚く、孤独を感じさせる。

2 コメント:

haichaolu at: 2008/11/08 19:56:00 さんのコメント...

今日は。
美しい都市の風景ですね。
欧州はまだ行った事がありませんので憧れます。
これから歴史の勉強もしたいですが、
イタリアルネサンスには興味があります。
王侯貴族や教会の権威の時代から商人が台頭した時代に、
自由や冒険のロマンを感じます。

Y at: 2008/11/14 17:42:00 さんのコメント...

こんにちは。
お返事遅くなりました。
欧州は歴史を学んでから訪れると、本当に味があります。
僕もきちんと学んでおけばよかったと、今頃後悔しながら慌てて本など読んでいます。
現地の人は日本と比べて不思議とゆとりがあります。
ローマ時代から流れる歴史の長さと、人間の一生の短さを肌で実感しているため、生き急ぐという概念がないのかもしれません。

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