Mies van der Rohe

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ガウディ建築群と並んで、バルセロナで訪れたいと思っていた場所、ミース・ファン・デル・ローエ記念館。

「1929年のバルセロナ万国博覧会で建設されたドイツ館、バルセロナ・パヴィリオンは、鉄とガラスで構成され、大理石の壁を配したもの。モダニズムの空間を実現したものとして建築史上有名。また、同館のためにミースがデザインしたバルセロナ・チェアは、モダンデザインの傑作として知られる。パヴィリオンは博覧会終了後に取り壊されたが、 1986年に同じ場所に復元され、ミース・ファン・デル・ローエ記念館となっている。」
��以上Wikipediaより抜粋)

記念館は、上述のとおり、鉄とガラスによる非常にシンプルな構成で、館内にはバルセロナ・チェアがこれまた簡潔に置かれている。
"Less is more"とはミースの代名詞の1つだが、直線的で、シンプルで、無駄のない造りは、ガウディに代表されるような、バルセロナの随所に見られるモデルニスモ建築と対極をなしている。
華やかで陽気なスペインと、質実剛健のドイツとのお国柄が出ているようでおもしろい。

ミースといえば、"God is in the detail(神は細部に宿る)"という格言もよく用いたことで知られている。
僕はこの言葉が好きだ。この言葉は、極めて日本人的だと思うのだ。

そもそも日本神話自体、「神は細部に宿る」をそのまま神話にしたようなものだ。
イザナギとイザナミが産み落とした八百万の神々は、火の神、水の神にはじまり、台所の神や裏切りの神などに至るまで、あらゆる場所や機能の神がいる。
日本人は、太古の昔から、神は細部にも宿っていると考えてきたのだ。

現在でも、例えば日本の製造業は、表からは見えない部分までも品質にこだわり、特には過剰品質と揶揄されるほどである。
サービス業でも、かゆいところに手が届くどころか、かゆみどめを塗ってくれるほどのホスピタリティの高さは、多くの外国人が日本を好きになる最大の魅力になっている。
こうした細部へのこだわりは、やはり「神は細部に宿る」との発想から来ているのだと思う。

極めて日本的な価値観を、西欧の、しかも建築・デザイン分野の偉人が尊んでいた、というのは非常に興味深い。
"God is in the detail"の究極は、たしかにデザインなのかもしれない。
これからの日本が、「デザイン力」を競争力の源泉にしたならば、世界でも極めて高いアイデンティティを持った国になれるのではないか。

デザイン力とは、単にアーティスティックなデザインだけを言うのではない。
細部をデザインするというのは、当然、先端技術開発に取り組むことでもある。
技術開発は、万にひとつの世界であり、ほんの小さな違いがただの失敗を生んだり、未来への一歩に繋がったりする。
また、前述の通り、きめ細やかなサービスを徹底することも、細部のデザイン力である。

そーんなことをぼんやりと考えられるくらい、ミースの記念館は、ゆったりとした時が流れていた。

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